中国、清(しん)代の長編戯曲。40齣(せき)(場)。孔尚任(こうしょうじん)作。明(みん)末、魏忠賢(ぎちゅうけん)の一派阮大せい(げんたいせい)、馬士英(ばしえい)らに対する文人の結社、復社の侯方域(こうほういき)らの反感は根強かった。崇禎(すうてい)帝の自殺後、阮、馬は福王を皇帝に擁立し、権力を握ると、復社の人々を弾圧する。やがて清軍の南下するにつれて諸将は寝返り、最後まで抵抗した左良玉、史可法も自殺し、明王朝は完全に滅びる。この激動する時代を背景に、名士侯方域と南京(ナンキン)の名妓(めいぎ)李香君(りこうくん)との愛は、一度は契りを交わしたが、阮、馬らの圧迫でついに結ばれなかった。2人の変わらぬ愛情と明朝滅亡の哀(かな)しみを唱(うた)う。登場人物はすべて実在の人、事件も史実に沿った歴史劇の名作。劇名は、金持ちの身請けを拒んだ香君が床に倒れたとき鮮血が契りの扇に散り、友人が筆を加えて桃花に仕上げたのに由来する。
[平松圭子]
『岩城秀夫訳『桃花扇』(『中国古典文学大系53 戯曲集 下』所収・1971・平凡社)』
中国,清代の戯文。孔尚任(1648-1708)の作。明末の文人侯方域と南京秦淮の名妓李香君を主人公とする佳人才子劇であるが,明王朝が次第に崩壊してゆく諸相を背景に,混乱の世を純粋の恋に生きようとする2人の姿を浮彫にしている。登場するのはほとんど実在の人物であり,史実に正確であるように努めた点で歴史劇ともいえる。明初以来栄えた戯文の最後の傑作である。
執筆者:岩城 秀夫
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…ポリプの一部がふくらんでクラゲが生ずる。中国では桃花魚または桃花扇とよんでいるが,これは桃の花が満開のころに出現するためといわれる。 日本では津市の井戸から発見されたイセマミズクラゲC.iseanaが1922年に報告されているが,その後見いだされていない。…
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