戯文(読み)ぎぶん

百科事典マイペディア「戯文」の解説

戯文【ぎぶん】

中国の南方系戯曲南曲とも。北方系の雑劇は元代に盛んになった(元曲)が,文は明代に最も栄えた(明曲)。起源は南宋にあり,明初,高明の《琵琶記》が出て復興。元曲が各4幕の規則を固守するのに対し,幕数に制限がなく長編が多い。《荊釵(けいさ)記》《還魂記》《南柯(なんか)記》等が名作とされ,いずれも44〜45幕,清代にも《長生殿》等がある。
→関連項目桃花扇湯顕祖

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デジタル大辞泉「戯文」の解説

ぎ‐ぶん【戯文】

たわむれに書いた文章。また、こっけいな味わいの文章。
中国の南宋および元の時代に温州杭州を中心に発達した戯曲雑劇。音楽と科白(せりふ)からなる。「琵琶記」「還魂記」など。南戯

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精選版 日本国語大辞典「戯文」の解説

ぎ‐ぶん【戯文】

〘名〙
① たわむれに書いた文章。げぶん。滑稽を主とした文章が多い。
※江戸繁昌記(1832‐36)三「処士一時の戯文、大儒之を視れば何如ぞや」
② 中国、元代に盛んに行なわれた戯曲雑劇。科白(せりふ)と音楽とから成る歌劇風のもの。「琵琶記」「還魂記」の類をいう。また、広く戯曲をいう。げぶん。〔荘岳委談‐下〕

げ‐ぶん【戯文】

〘名〙 (「けぶん」とも)
※寄合ばなし(1874)〈榊原伊祐〉初「大人の序辞を請て其正しきを証せむと欲すれども、大人その戯文(ケブン)に近きをもて諾せず」
② 戯曲。芝居の台本。ぎぶん。
※俗語解(18C)「けえ部〈略〉 戯文 狂言」

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世界大百科事典 第2版「戯文」の解説

ぎぶん【戯文 Xì wén】

中国の古典戯曲のうち,南方系の楽曲基調とした作品の総称。南戯,また南曲ともよばれる。北方系の楽曲による雑劇が元代に栄えたのに対し,戯文は明代に最も盛行した。雑劇に比べて長編で,通常数十幕(場)から構成されている。古く南宋に始まるようで,杭州や温州で盛んに上演されていた記録があり,南宋の人陸游が観劇の詩を作っているのも,浙江山陰のあたりで戯文の上演を見ていたものと考えられる。《永楽大典》所収の《張協状元》は南宋末の作品のうち,伝存する唯一のものである。

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世界大百科事典内の戯文の言及

【中国演劇】より

…なお,雑劇の最盛期は作者が北方出身者によって占められていた前期にあり,およそ1300年ごろが一つのピークに達した時期と目されるが,後期には中心地が南方へ移ってゆき,同時に作者も南方人によって占められるようになって,しだいに模倣的な作品が目だつようになり,生新ではつらつとした精神が薄れて,かつてのたくましく生き生きとした描写力を失ってしまうのである。雑劇
[文人による才子佳人劇]
 14世紀中ごろより,ようやく従来の面目を一新し活力を得てきたのが,宋以来南方の地に行われていた〈南戯〉(〈戯文〉ともいい,のちには〈伝奇〉といった)であった。元末・明初のころには,高明によって名作《琵琶記》が書かれ,ほぼ同時期には《荆釵(けいさ)記》《白兎(はくと)記》《幽閨記》《殺狗記》のいわゆる〈四大作〉が出て,にわかに脚光を浴びるようになり,雑劇にかわって主座の地位をしめるにいたった。…

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