棒縛(読み)ぼうしばり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

棒縛
ぼうしばり

狂言の曲名。小名狂言 (太郎冠者物) 。日頃留守に酒を盗む太郎冠者 (シテ) ,次郎冠者 (アド) にてこずる (アド) は,きょうは計略にかけて次郎冠者を縛りに,太郎冠者をうしろ手に縛って出かける。酒好きの2人は,自由のきかぬ身を動かして酒を飲ませ合い,酒宴になって舞出すうちに,突然戻った主の姿がに映ってびっくりする。怒った主は両人擲して追込む。以上和泉流による。大蔵流では次郎冠者がシテになり,両人で主を追込む演出になる。本曲は歌舞伎舞踊に移され,岡村柿紅作詞,杵屋巳太郎作曲の長唄として,1916年1月東京市村座で初演された。

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デジタル大辞泉の解説

ぼうしばり【棒縛】

狂言。主人が、留守中に酒を盗み飲みする太郎冠者両手首を棒に縛りつけ、次郎冠者後ろ手に縛って外出すると、二人は縛られたまま工夫して酒を飲み、うたい舞う。
(棒しばり)歌舞伎舞踊。長唄。岡村柿紅作詞。大正5年(1916)東京市村座初演。をもとにした松羽目(まつばめ)物

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百科事典マイペディアの解説

棒縛【ぼうしばり】

狂言の曲目。酒好きの太郎冠者と次郎冠者に盗み飲みされないよう,主人は太郎冠者の両手を棒に縛り,次郎冠者もうしろ手に縛って外出する。留守中二人は苦心の末酒を飲み,手がつかえないため(あご)やを使って舞い興ずる。歌舞伎舞踊(長唄)化されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

棒縛
ぼうしばり

狂言の曲名。太郎冠者(たろうかじゃ)狂言。留守にすると召使いたちが酒を盗み飲みすると知った主人は、まず太郎冠者を呼び出して次郎冠者(シテ)を縛る方策を相談し、さて次郎冠者を召すと、近ごろ稽古(けいこ)しているという棒術を使わせ、すきをみて左右に伸ばした両手首を棒に結わえ付けてしまう。ついで不意に太郎冠者も後ろ手に縛って、主人は安心して外出する。ところが、2人はそれでも酒蔵へ入り、次郎冠者が手首に持った大盃(おおさかずき)で酒壺(さかつぼ)から酒をくみ、飲もうとするが、無理である。しかたなく太郎冠者に飲ませ残念がるが、思い付いて太郎冠者の後ろ手に大盃を持たせて自分も飲む。両冠者は上機嫌になり、そのぶかっこうな姿で舞をまい、酒宴を楽しんでいるところへ主人が帰宅する。太郎冠者は主人に追い込まれるが、次郎冠者は縛られたまま棒を使い逆に主人を追って入る。以上は大蔵(おおくら)流の筋で、和泉(いずみ)流では太郎冠者がシテで、両冠者の演技がほぼ入れ替わる。明るく楽しく、また姿が笑いを誘うので、海外公演の演目に加えられるのが常である。1916年(大正5)岡村柿紅(しこう)が大蔵流の筋に従って歌舞伎(かぶき)舞踊化し、6世尾上(おのえ)菊五郎、7世坂東(ばんどう)三津五郎が初演した。

[小林 責]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぼう‐しばり【棒縛】

[1] 〘名〙 身体に棒をあてて、自由がきかなくなるようにしばること。
※虎寛本狂言・棒縛(室町末‐近世初)「こなたと私と致いて棒縛りに致しませう」
[2]
[一] 狂言。各流。自分の留守中太郎冠者・次郎冠者がいつも酒を盗んで飲むことを知った主人が、偽って太郎冠者の両手首を棒にしばりつけ、さらに次郎冠者をも後ろ手にしばって外出する。しかし、二人はしばられたままいろいろ工夫して酒を飲み、酔ってうたい舞い、もどってきた主人にしかられる。
[二] (棒しばり) 歌舞伎所作事。長唄。岡村柿紅作詞。杵屋巳太郎作曲。大正五年(一九一六)、東京市村座初演。(一)を歌舞伎舞踊化したもので、六代目尾上菊五郎と七世坂東三津五郎が振り付け、初演して有名となる。

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