標茶(読み)しべちゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「標茶」の意味・わかりやすい解説

標茶(町)
しべちゃ

北海道東部、釧路(くしろ)総合振興局管内の町。1950年(昭和25)町制施行。町名はアイヌ語「シペッチャ」(大河の縁の丘陵)による。東は根釧(こんせん)台地、西は鶴居(つるい)丘陵に属する起伏の緩やかな丘陵が町域の大部分を占める。南部の釧路川河谷は釧路湿原とよばれる低湿な泥炭地を形成し(釧路湿原国立公園。ラムサール条約登録湿地)、根釧台地の谷間に海跡湖の塘路湖(とうろこ)やシラルトロ沼をたたえる。また、町の南東端を流れ、厚岸(あっけし)湖に注ぐ別寒辺牛(べかんべうし)川流域は湿原(厚岸霧多布昆布森(あっけしきりたっぷこんぶもり)国定公園の一部。ラムサール条約登録湿地)をなしている。国道243、272、391号、274号、JR釧網(せんもう)本線が通じている。町域中央部の標茶が中心市街。1885年(明治18)釧路集治監設置、大正初期から開拓が進んだ。河谷、丘陵の牧草地化による酪農や馬産と、カラマツなどの育成林業が主産業で、畑作は不安定である。ほかにカワサギ養殖、サケ・マス孵化(ふか)事業などの漁業とホテルなどの観光業がある。育成牧場の多和平(たわだいら)、塘路湖畔に集治監の建物を移した標茶町郷土館などがある。面積1099.37平方キロメートル、人口7230(2020)。

[古川史郎]

『『標茶町史考』2巻(1966、1978・標茶町)』『『標茶町史』全4巻(1998~2006・標茶町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「標茶」の意味・わかりやすい解説

標茶[町] (しべちゃ)

北海道東部,釧路支庁川上郡の町。人口8285(2010)。中心市街地は釧路市の北東40kmに位置する。町域には根釧(こんせん)台地が広がり,釧路川が南流して,その左岸釧網本線が走る。南部には釧路湿原の一角が広がっている。1885年釧路集治監が置かれ,囚人労働がこの地の開発の先駆を担った。春,夏は冷涼多湿で日照に乏しいこの地方は,第2次大戦前は馬産地であり,戦後は酪農地帯として発展した。4万2000頭(1990)の乳牛が飼養されている道内有数の酪農地帯で,磯分内には雪印乳業の工場がある。ほかに製材,チップ工場があり,南部の塘路湖,シラルトロ沼ではワカサギなどの内水面漁業が行われる。
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百科事典マイペディア 「標茶」の意味・わかりやすい解説

標茶[町]【しべちゃ】

北海道東部,川上郡の町。屈斜路(くっしゃろ)湖に発する釧路川の中流部を占め,釧網(せんもう)本線が通じている。釧路川流域は低湿地が広く,酪農を基幹産業とするが,林業,淡水漁業も行われる。塘路(とうろ)湖付近はタンチョウヅル(特別天然記念物)繁殖地。1980年に釧路湿原の一部がラムサール条約登録湿地となる。1099.37km2。8285人(2010)。

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