信義誠実の原則(読み)しんぎせいじつのげんそく(英語表記)Treu und Glauben; bonne foi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

信義誠実の原則
しんぎせいじつのげんそく
Treu und Glauben; bonne foi

原則の一つ。公法私法を問わず,当事者が相手の信頼にそむかず誠意をもって行動しなければならないという原則。信義則ともいう。もともと倫理上の規範であったが,具体的事件において正義衡平を貫徹するために,適用されるべき基本的法原則とされている。日本では権利行使義務履行に関して民法第1条第2項にこの基本原則をうたっている。

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百科事典マイペディアの解説

信義誠実の原則【しんぎせいじつのげんそく】

信義則とも。すべての人は,共同生活を営む社会の一員として,互いに相手の信頼を裏切らないように誠意をもって行動すべきであるという私法上の原則(民法1条2項)。公序良俗の観念とともに,法と道徳とを調和させるための基本原理である。
→関連項目条理不完全履行

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世界大百科事典 第2版の解説

しんぎせいじつのげんそく【信義誠実の原則 Treu und Glauben[ドイツ]】

社会生活を営むうえで,他人の信頼や期待にこたえて,信義に従い誠実に行動しなければならないという原則。一般社会生活においては,このいわば道徳的規範に違反しても,個人的ないし社会的な次元で非難されるにとどまる。これに対し,この信義に従い誠実に行動すべしとする規範は,人と人との間の法律生活においても,権利の行使および義務の履行にあたって,同じく行動の指導理念とされ,これに違反するときは法的にも不利益ないし制裁を課されるべきことが要請される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

信義誠実の原則
しんぎせいじつのげんそく

権利の行使および義務の履行は信義に従い誠実にこれをなすことを要する、とする原則(民法1条2項)。信義則ともいう。信義誠実とは、社会共同生活の一員として互いに相手の信頼を裏切らないように誠意をもって行動することであり、債権法を支配する大原則である。たとえば、債務の履行が信義誠実に反する場合には、債務を履行したことにならず、債務不履行の責任を負わなければならない。信義誠実の原則は、このように当事者間の行動の原則として作用するだけでなく、法律および契約解釈の原理として、さらには立法的原理としても作用するのである。[淡路剛久]

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