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君主の意思により制定され国民に下し与えられた憲法。1814年のフランス憲法,1818年のバイエルン憲法,1889年(明治22)の大日本帝国憲法(明治憲法)などがこれにあたる。具体的内容は国情や歴史的・文化的背景により異なるが,一般に君主権が国民の代表機関としての議会の権限に優越する。大日本帝国憲法は伊藤博文を中心に起草されて枢密院で審議されたが,民議に付されることなく欽定憲法として発布された。
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…大革命前夜に,旧体制の特権層の側では,国王の意思をもってしても動かすことのできぬ王国基本法の存在を援用して,憲法がすでにあるといおうとしたのに対し,シエイエスは,フランスは憲法をもっておらず,これから作らなければならない,と説き,憲法制定権力を持つ国民の意思による憲法の定立を主張した。彼にあっては,憲法制定権力は国民だけが持ちうるのであり,したがって,作られるものは必然的に民定憲法なのであるが,君主の憲法制定権力を前提として作られる欽定憲法という考え方自体,成文憲法原理と密接に対応しているのであって,それ以前には,憲法は,作られるものでなく在るものだったのである(欽定憲法,民定憲法および君民協約憲法という区別は,それぞれ,憲法制定の権威の所在が,君主の意思,国民の意思および両者の合意におかれることを示すものである)。今日の問題としていえば,成文かつ成典の硬性憲法という形式的標識から見た〈憲法〉の範囲を確定するという仕事は,そのような憲法の最高法規性を裁判的方法によって確保しようとする違憲審査制と結びついて,権力への制限という憲法の作用をどれだけ強く,または弱くするかという,実質的意義に満ちているのである。…
※「欽定憲法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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