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正税帳 しょうぜいちょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

正税帳
しょうぜいちょう

四度使 (よどのつかい。四度公文ともいう) の一つ。前年度における正税の収支決算報告書出挙 (すいこ) ,貸借,公廨 (くがい) ,田租,例用,臨時用などを記し,国司中央政府に報告したもの。主税寮ではこれを検査し,まちがいなければ返抄を使に与え,不正があれば返却した。 (→正税使 )  

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デジタル大辞泉の解説

しょうぜい‐ちょう〔シヤウゼイチヤウ〕【正税帳】

律令制で、各国の国司が1年間の正税の出納を記入して中央政府へ報告した決算帳簿。大税帳。税帳。

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百科事典マイペディアの解説

正税帳【しょうぜいちょう】

古代律令制下,毎年諸国で作成され中央政府に提出された,1年間の正税(大税)の収納・運用の決算報告書。税帳・大税帳とも呼ばれる。田租収入・蓄積された稲穀(とうこく)量・出挙(すいこ)量のほか,前年度からの繰越し,当年度の収入と支出の細目,残高などが記される。
→関連項目足羽正倉

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうぜいちょう【正税帳】

奈良・平安時代に諸国において作成された1年間の正税(大税)の収支決算書。毎年同じものが少なくとも3通作成され,2通を正税使(税帳使)が付属帳簿(枝文(えだぶみ))とともに中央政府に提出した。現存の正税帳では730年(天平2)度のものがもっとも古く,天平期のものは二十数通《正倉院文書》の中に残っている。稲穀の数量を中心に,前年度からの繰越高,出挙(すいこ)の利息や田租収入,1年間支出細目,年度末の残高などが詳しく記載されている。

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大辞林 第三版の解説

しょうぜいちょう【正税帳】

律令制下、諸国の正税の収納・運用に関する報告書。毎年太政だいじよう官に提出した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

正税帳
しょうぜいちょう

古代律令制(りつりょうせい)下において、国司が中央政府に提出した1年間の正税の決算報告書。律令時代、人民から国庫に徴した田税(でんぜい)を正税という。正税は大税とも官稲とも称した。広義には、諸国の倉に納められ年間の費用にあてる田租を意味したが、狭義には公廨稲(くがいとう)や雑稲(ぞうとう)に対する公出挙稲(くすいことう)をさすこともある。田租は別納租穀や舂米(しょうまい)として京に運ばれるほかは、国の正倉や郡倉に収められ、諸国のいろいろな費用にあてられた。そのおもなものは、出挙、借貸(しゃくたい)、公廨、例用(れいよう)、臨時用などである。例用とは、地方国衙(こくが)での年中恒例行事の費用にあてるもので、神社の幣帛(へいはく)料、最勝王経(さいしょうおうきょう)転読料、釈奠(せきてん)料、駅馬飼秣(しまつ)料および交易雑物の購入料などである。臨時用は、太政官符(だいじょうかんぷ)などの命令によって臨時に支出する費用である。そのほか、国司巡行や駅伝使の往来なども、すべて正税でもってまかなわれた。
 諸国では、毎年の正税の収納高、支出、残高などを書き上げた帳簿をつくった。それが正税帳である。記載様式は、『延喜式(えんぎしき)』主税の条に詳細に記されているが、天平(てんぴょう)年間(729~749)の正税帳や郡稲帳が25通ばかり正倉院文書として残されている。それは左京(さきょう)(天平10)、大倭(やまと)(天平2)、摂津(せっつ)(天平8)、和泉(いずみ)(天平10)、伊賀(いが)(天平2)、尾張(おわり)(天平2、天平6)、駿河(するが)(天平9、天平10)、伊豆(いず)(天平11)、越前(えちぜん)(天平2)、佐渡(さど)(天平8)、但馬(たじま)(天平8)、隠岐(おき)(天平1、天平5)、播磨(はりま)(天平10)、周防(すおう)(天平7、天平10)、長門(ながと)(天平8)、紀伊(きい)(天平2)、淡路(あわじ)(天平10)、伊予(いよ)(天平8)、筑後(ちくご)(天平10)、豊後(ぶんご)(天平8)、薩摩(さつま)(天平8)であるが、多くは断簡である。正税帳を中央官庁に差し出すのは、『延喜式』民部の条には2月30日以前とされるが、西海道の諸国諸島は2月30日以前に大宰府(だざいふ)に送り、そこで覆勘(ふくかん)されて5月30日以前に太政官に送る規定であった。諸国から正税帳を進める国衙(こくが)の役人を正税帳使(正税使)というが、正税帳使は正税帳のほかに義倉(ぎそう)帳、官田地子(じし)帳なども附帯して京に赴いている。正税帳は、民部省主税寮で各綱目ごとに検査され、記載の誤りや、不正があれば返却された。たとえば大国1万束、上国8000束、中国6000束、下国4000束の誤算が指摘されれば、正税帳は返され、補填(ほてん)が命ぜられた。この摘発した帳簿は正税返却帳という。以上のように正税は地方財政の中心をなしていたから、国司の交替にあたっては、在任中の欠損を補填させ、ときには検税帳使を派遣して検察を加えることもあった。[井上辰雄]
『井上辰雄著『正税帳の研究』(1967・塙書房)』

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