日本大百科全書(ニッポニカ) 「毛奇齢」の意味・わかりやすい解説
毛奇齢
もうきれい
(1623―1716)
中国、清(しん)代初頭の学者。浙江(せっこう)省蕭山(しょうざん)の人。西河と号した。博学多才で、経史はもとより地理、音韻、楽律の諸学にも通じたほか、詩詞、駢文(べんぶん)、書画をもよくした。清代漢学の先駆者の一人であり、とりわけ反朱子の立場から旺盛(おうせい)な著述活動に従事したが、他方その博識を頼んで顧炎武(こえんぶ)や閻若璩(えんじゃくきょ)、胡渭(こい)(1633―1714)ら当時の碩学(せきがく)たちの学説にも反駁(はんばく)したため、後世、漢学者の間での評価は芳しくない。しかし、『詩伝詩説駁議』5巻、『古文尚書冤詞(えんし)』8巻、『仲氏易(ちゅうしえき)』30巻、『論語稽求篇(けいきゅうへん)』4巻などは、やや詭怪(きかい)の言語を含むとはいえ、やはり再評価されてよい論著である。『毛西河合集』498巻がある。
[宮内 保 2016年3月18日]
『『清史稿 481巻』』▽『『国朝先正事略 32巻』』▽『『国朝詩人徴略 10巻』』▽『『清人文集別録 2巻』』▽『全祖望著『蕭山毛検討別伝』(『埼亭集・外編 12巻』)』▽『阮元著『毛西河検討全集後序』(『経室二集 7巻』)』▽『李慈銘著『書埼亭集外編毛検討別伝後』(『越縵堂文集 6巻』)』▽『梁啓超著、小野和子訳『清代学術概論』(1974・平凡社・東洋文庫)』