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江戸っ子/江戸っ児 エドッコ

デジタル大辞泉の解説

えどっ‐こ【江戸っ子/江戸っ児】

江戸で生まれ江戸で育った人。また、現在では、父祖以来東京、特にその下町に住んでいる人についてもいう。いなせで、さっぱりとした気風や、歯切れがよく、銭遣いがきれいで、反面、浅慮で、けんかっぱやいところが特徴とされる。「三代江戸に住めば―」「ちゃきちゃきの―」
江戸言葉。江戸弁。
「わざと―を使った叔父は」〈漱石明暗
[補説]「江戸っ子」の初見は、明和8年(1771)の「川柳評万句合」の「江戸ッ子のわらんじをはくらんがしさ」といわれ、それ以前は東男(あずまおとこ)または江戸者といった。江戸中期の繁栄期に、その語感が彼らの気質と誇りに合って普及した。

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百科事典マイペディアの解説

江戸っ子【えどっこ】

江戸で生まれた生粋(きっすい)の江戸の人。江戸者・江戸衆・江戸人などというよりもなお根生(ねお)いの者であることを強調した感がある。おもに町人に対して用い,ものごとにこだわらず,意地と張りに生きるという反面,短気で軽薄といわれた。

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世界大百科事典 第2版の解説

えどっこ【江戸っ子】

都市江戸で生まれ育った,きっすいの江戸の人の意。根生いの江戸住民であることを自負・強調する際に多く用いられた。それも武士ではなく,おもに町人の場合である。江戸っ子は,物事にこだわらず金ばなれがよく,意地と張りを本領とし正義感が強かったが,反面,けんかっ早くて軽率だといわれた。江戸っ子といった場合,江戸者,江戸生れ,江戸人,江戸衆などというより,もっと根生いの江戸住民であることを強調する言葉としての響きが強い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

江戸っ子
えどっこ

江戸居住者ないし江戸市民は江戸者と称し、そのなかでも生え抜きの江戸者、生粋(きっすい)の江戸市民を江戸っ子といった。江戸っ子は父母ともに3代続きの市民であることが必要条件とされた。このように絞ると、享保(きょうほう)年間(1716~36)の江戸町人人口50万のうち、江戸っ子はざっと10%にしかならなかった。「江戸っ子」ということばの初見は1771年(明和8)の川柳(せんりゅう)で、「江戸っ子のわらんじをはくらんがしさ」である。1603年(慶長8)江戸開府後、各地から浪人者その他が多数流入して江戸市井に入り込み、各町の草分けとなってから約1世紀半もたつと、蓄財も進み成長した町人ができてきた。そのころになると江戸市民の間に同郷的連帯感が強まってくるし、「江戸っ子」ということばがみられるようになる。またこの語感が彼らの気質にもあったために、寛政(かんせい)(1789~1801)以後の江戸繁栄期に普及した。
 この江戸っ子の特徴としてあげられるのは、粋(いき)で勇み肌の気風、さっぱりとした態度、歯切れのよさ、金銭への執着のなさなどがあり、また浅慮でけんかっ早い点もある。「金の鯱鉾(しゃちほこ)をにらんで、水道の水を産湯(うぶゆ)に浴び、おがみ搗(づ)きの米を食って、日本橋の真ん中で育った金箔(きんぱく)つきの江戸っ子だ……」が、芝居の台詞(せりふ)からきた自賛の弁。将軍家のお膝元(ひざもと)に住むという自負のある反面、排他的な誇りを含み、見栄(みえ)を張り、意地を張るという気質も強い。
 江戸の経済構造が利権にからみ、ぬれ手で粟(あわ)のつかみ取りといった新興富裕層を生み、それを浪費、蕩尽(とうじん)する一面が強調され、また江戸の都市構造上頻繁に起こる火事は大商人をおびえさせた。しかし勤労層は災害もあまり苦にならず、労銀もあがり、復興景気の恩恵にあずかれるとなれば、宵越しの金をもつ必要もなかった。大工、左官、鳶(とび)の者、天秤棒(てんびんぼう)を肩にして行商する連中などの、「俺(おれ)たちゃ江戸っ子だ」という意識が強くなり、それを唯一の誇りとして「江戸っ子」を振り回して力みだしたのは文政(ぶんせい)(1818~30)のころからである。[稲垣史生]
『『三田村鳶魚全集 第7巻』(1975・中央公論社) ▽斉藤隆三著『江戸のすがた』(1936・雄山閣出版) ▽石母田俊著『江戸っ子』(1966・桃源社) ▽西山松之助著『江戸っ子』(1980・吉川弘文館)』

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世界大百科事典内の江戸っ子/江戸っ児の言及

【神田】より

…これは神田をめぐる商・職の活動ぶりを示す象徴的なものでもあった。〈芝で生まれて神田で育っ〉たのが江戸っ子といわれた。日本橋の商業地区は出店が多く,使用人も上方で雇用され派遣される者が多かった。…

【下町】より

…下町は商工業が盛んで,経済活動の中心であるが,一方,浅草,両国等の盛場も形成されるなど,娯楽・享楽的な面でも栄えていた。そして〈江戸っ子〉ということばに象徴される,反権力性や義理人情を重んじる独特の文化と生活様式が生まれた。このことについて二葉亭四迷は〈下町育ちは山の手の人とは違ふ〉(《平凡》1907)と書いている。…

【十八大通】より

…幡随院長兵衛や花川戸助六の2代目を称して男だてを重んじ,遊里や芝居見物で荒い金づかいと奇矯な行動をして,市中の話題となった。蔵前本田の髷(まげ)に黒小袖を着け,鮫ざやの脇差をさし,河東節を口ずさみ大仰に歩く様は〈蔵前風〉とよばれ,最も江戸っ子的な風俗とされた。歌舞伎役者や音曲芸人の後援者となり,俳諧等の文芸にも大きな影響を与えたが,寛政改革の風俗取締りによって消滅した。…

【火消】より

…彼らは町内から手当のほか法被(はつぴ),股引(ももひき)等を渡され,平素は土木建築や町内の雑業に従事して生活の保証を得ていた。頭取を中心とする各組の団結は固く,大名火消,定火消との対抗意識も強く,しばしば抗争事件を起こすなどして,その意地・張りなどの独特の気風から,幕末には〈江戸っ子〉の代表の一つとされた。火事【池上 彰彦】。…

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