河津鉱(読み)かわづこう(その他表記)kawazulite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「河津鉱」の意味・わかりやすい解説

河津鉱
かわづこう
kawazulite

硫化鉱物。1970年(昭和45)、加藤昭(あきら)によって記載された新鉱物。三方蒼鉛(そうえん)カルコゲン化物の一員。硫テルル蒼鉛鉱セレン(Se)置換体。硫テルル蒼鉛鉱と、その硫黄のセレン置換体である河津鉱の間は化学組成上連続する。自形は六角板状。浅~深熱水鉱脈型金・銀鉱床テルル鉱物を多産するものに限られるようである。

 共存鉱物は原産地では自然テルル(セレンを含む)、石英のほか、少量の二次的生成物と判断されるテルル石を伴う。同定は硫テルル蒼鉛鉱よりは銀白色に近いやや強い光沢一方向に完全な劈開(へきかい)。撓(とう)性(たわむ性質)がある。ホセ鉱のような鉛灰色にはならない。命名は原産地にちなむ。

[加藤 昭]


河津鉱(データノート)
かわづこうでーたのーと

河津鉱
 英名    kawazulite
 化学式   Bi2Te2Se
 少量成分  Pb,Ag,S
 結晶系   三方
 硬度    1.5
 比重    8.08
 色     銀白~錫白
 光沢    金属
 条痕    淡鋼灰
 劈開    一方向に完全。撓性有
       (「劈開」の項目参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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