注ぐ(読み)ソソグ

デジタル大辞泉 「注ぐ」の意味・読み・例文・類語

そそ・ぐ【注ぐ/×灌ぐ】

[動ガ五(四)]《室町時代ごろまで「そそく」》

㋐流れ入る。流れ込む。「淀川大阪湾に―・ぐ」
㋑雨や雪などがとぎれなく降りかかる。「雨が―・ぐ」「降り―・ぐ」

㋐流し入れる。また、容器に水などをつぐ。「田に水を―・ぐ」「茶碗に酒を―・ぐ」
㋑涙を流す。「熱い涙を―・ぐ」
㋒水などを上からかける。ふりかける。「盆栽に水を―・ぐ」
㋓もっぱら、その方へ向ける。一つことに集中する。「心血を―・ぐ」「視線を―・ぐ」「全力を―・ぐ」
[可能]そそげる
[下接句]油を注ぐ意を注ぐ心血を注ぐ火に油を注ぐ満面朱をそそ目を注ぐ
[類語](2㋐)盛るよそう淹れる盛り付ける盛り込む盛り合わせる差す注ぎ込むぎ込む流し込む流れ込む注入注水注油

つ・ぐ【注ぐ】

[動ガ五(四)]《「継ぐ」と同語源》容器に物を満たす。特に、液体を容器にそそぎ入れる。「御飯を―・ぐ」「お茶を―・ぐ」
[可能]つげる
[類語]盛るよそうそそ淹れる盛り付ける盛り込む盛り合わせる差す注ぎ込むぎ込む流し込む流れ込む注入注水注油

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「注ぐ」の意味・読み・例文・類語

そそ・ぐ【注・灌】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ガ五(四) 〙 ( 古くは「そそく」 )
    1. 音をたてて水が流れる。
      1. [初出の実例]「芳(かうば)しき草薈(も)く蔚(も)し、長瀾(たかきなみ)(ソソキ)(なが)れ」(出典:日本書紀(720)応神二二年九月(北野本訓))
    2. 雨、雪などが間断なく降る。
      1. [初出の実例]「堯雲更に靄(くも)り、舜雨還(また)(ソソク)〈興福寺本訓釈 霈 曾々久〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
    3. 液体がさかんに物の上にふりかかる。特に、涙がさかんに落ちる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
      1. [初出の実例]「声はして雲路にむせぶ郭公なみだやそそく宵のむら雨〈式子内親王〉」(出典:新古今和歌集(1205)夏・二一五)
    4. 水が流れ込む。流れてはいる。
      1. [初出の実例]「谿潤浚瀬ありて飛ひ流れて四むに注(ソソ)く」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
    5. 視線などが、あるものの上に集中される。
      1. [初出の実例]「少女の眼も亦客に注ぎ」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ガ五(四) 〙 ( 古くは「そそく」 )
    1. 上にかける。ふりかける。流しかける。
      1. [初出の実例]「痛き瘡(きず)には 鹹塩(からしほ)を 灌(そそく)ちふが如く」(出典:万葉集(8C後)五・八九七)
      2. 「散杖をとりて、香水にさしひたして、四方にそそく」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一三)
    2. 器などに、液体をつぎこむ。流しこむ。
      1. [初出の実例]「薬など口にそそき養生しければ」(出典:曾我物語(南北朝頃)一〇)
    3. 水を引いて流し入れる。
      1. [初出の実例]「溝を十文字にほりて、井より水をそそくに」(出典:中華若木詩抄(1520頃)下)
    4. (目・心などを)その方へ向ける。集中する。
      1. [初出の実例]「作者たるものかりそめにも此理に心を注(ソソ)がずして其人物を造作せば」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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