継ぐ(読み)ツグ

デジタル大辞泉 「継ぐ」の意味・読み・例文・類語

つ・ぐ【継ぐ/続ぐ】

[動ガ五(四)]
(「嗣ぐ」とも書く)前の者のあとを受けて、その仕事・精神・地位などを引き続いて行う。続けてする。相続する。継承する。「家業を―・ぐ」「王位を―・ぐ」「父の志を―・ぐ」
(「接ぐ」とも書く)
㋐ばらばらになっているもの、連続していないものをつなぎ合わせる。くっつける。「骨を―・ぐ」「破片を―・いで復元する」
つぎ木をする。「ノバラバラを―・ぐ」
衣服の、破れたりいたんだりした箇所につぎを当てて直す。つくろう。「靴下の破れを―・ぐ」
絶えないように前からあるものに加え補う。補給する。「炭を―・ぐ」「息を―・ぐ」
囲碁で、切れそうな所に石を置いて補強する。相手に切断されないよう自分の石をつなぐ手を指す。
「切る」の忌み詞
「一の刀にて魚頭を―・ぎ」〈虎明狂・鱸庖丁
[可能]つげる
[類語](1受け継ぐ引き継ぐ受ける襲う/(2繋ぐ繋がるつなげる繋ぎ止める・繋ぎ合わせる・結び合わせる継ぎ合わせる接続する連結する結う結ぶ結わえる縛るくくりつける取り結ぶ縛り付ける縛り上げる結い上げる結わえ付ける結わくもや結び付ける

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精選版 日本国語大辞典 「継ぐ」の意味・読み・例文・類語

つ・ぐ【継・接・続・次・注】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ガ五(四) 〙
    1. 並んで連なる。物事がひき続いて起こる。
      1. [初出の実例]「大坂に 菟藝(ツギ)登れる 石群(いしむろ)を 手越しに越さば 越しかてむかも」(出典日本書紀(720)崇神一〇年九月・歌謡)
      2. 「旅に去にし君しも都藝(ツギ)て夢に見ゆあが片恋の繁ければかも」(出典:万葉集(8C後)一七・三九二九)
    2. 前にあるものの後に続く。接続する。
      1. [初出の実例]「梅の花咲きて散りなば桜花都伎(ツギ)て咲くべくなりにてあらずや」(出典:万葉集(8C後)五・八二九)
    3. その下に位する。
      1. [初出の実例]「次に月(つき)の神を生(う)みまつります。〈一書に云はく、月弓(つきゆみ)の尊、月夜見(つきよみ)の尊、月読の尊〉其の光(ひかり)(うるわ)しきこと、日に亜(ツケ)り」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
      2. 「賢に隣り聖に亜(ツ)ぐを賢と曰(い)ふ」(出典:法華義疏長保四年点(1002)一)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ガ五(四) 〙
    1. [ 一 ] 空間的に切れめがないようにする。接続する。つなぐ。
      1. 破れたり切れたり離れたりしているものをつなぎ合わせる。くっつける。ぬい合わせる。
        1. [初出の実例]「逢はなくに夕占を問ふと幣に置くにわが衣手はまたそ続(つぐ)べき」(出典:万葉集(8C後)一一・二六二五)
        2. 「衣裳の類も新しきをば著せず、烏帽子の破れたるをだにもつくろひ続(つが)せてぞ著給ひけり」(出典:栂尾明恵上人伝記(1232‐50頃)下)
      2. 中古、書写用料紙に美麗の趣をそえるために用いた技法。重ね継ぎ、切り継ぎ、破り継ぎなど、色紙をさまざまの様態につなぎはり合わせる。
        1. [初出の実例]「つれづれなるままにいろいろの紙をつきつつ手習をし給ひ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
      3. つぎ木をする。台木に親和性の高い穂木をつぎ、共生をはかる。「木をつぐ」
        1. [初出の実例]「接樹 木次」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))
      4. 囲碁用語。自分の離れた石に連絡する石を打つ。
        1. [初出の実例]「碁の手に付て〈略〉取分て卅二字の難字あり、衝(さしいる)、幹(うちかふ)〈略〉粘(ツグ)」(出典:壒嚢抄(1445‐46)一)
      5. 「切る」の忌みことば。
        1. [初出の実例]「若君様にても姫君にても、御誕生之時、依御吉例、里見名字被参、御臍の緒をつき被申」(出典:鎌倉殿中以下年中行事(1454か))
    2. [ 二 ] 物を補充する。欠けたところを補って本来の状態にする。
      1. 足りないところや無くなったりしたものを補う。加える。補填する。
        1. [初出の実例]「貴人の 立つる言立て 設弦(うさゆづる) 絶えば(ツガ)むに 並べてもがも」(出典:日本書紀(720)仁徳二二年正月・歌謡)
      2. ( 「注」と書くことが多い ) 器に物を満たす。特に、液状のものをそそぐ。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
        1. [初出の実例]「内侍の典主なりける者、態(わざと)熱く沸返たる湯をついで参たり」(出典:太平記(14C後)一二)
      3. ( 食器に飲食するものを入れる意から ) 飲食する。〔日本隠語集(1892)〕
        1. [初出の実例]「銭に尽たるつがずがち、おのづと悪い顔色を」(出典:浄瑠璃・彦山権現誓助剣(1786)四)
      4. キセルにタバコを詰める。
        1. [初出の実例]「羅宇のみじかい、きせるで、一服いたそうと、つぎかけたてい」(出典:談義本・当世下手談義(1752)一)
      5. 炭火にさらに炭を加える。炭を加えて燃え続けさせる。
        1. [初出の実例]「お蝶はしちりんの炭を継(ツギ)、白湯(さゆ)を汲で来りお由に呑せ」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)三)
    3. [ 三 ] 時間の経過とともに事柄が続く。継続する。
      1. 次々につづける。つらねつづける。
        1. [初出の実例]「外にゐて恋ふれば苦し吾妹子を次(つぎ)て相見む事計りせよ」(出典:万葉集(8C後)四・七五六)
        2. 「母親が再び談話(はなし)墜緒を紹(ツガ)うと試みても」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)
      2. そのままの状態でつづける。保ちつづける。
        1. [初出の実例]「我妹子が形見の衣なかりせば何物もてか命都我(ツガ)まし」(出典:万葉集(8C後)一五・三七三三)
      3. あとを受けてつづける。継承する。相続する。おそう。
        1. [初出の実例]「我れ当に人中の尊を紹(ツガ)むと記せられむ」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)五)
        2. 「為義、義家が跡を続(ツイ)で朝家の御まもりにて候へば」(出典:保元物語(1220頃か)上)
      4. 伝える。うけつたえる。伝承する。
        1. [初出の実例]「語り告(つぎ) 言ひ継(つぎ)行かむ 不尽の高嶺は」(出典:万葉集(8C後)三・三一七)
      5. ( 他の動詞の下に付いて ) …及ぶ、…とどける、などの意を表わす。「聞きつぐ」「見つぐ」など。

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