朝鮮民主主義人民共和国,黄海南道南部の都市。人口22万9172(1993)。京畿湾の北岸,海州湾岸に位置する。市街地は北の首陽山と南の南山のあいだを流れる広石川の開いた平野地帯に形成されており,南山から南方へのびた小さな竜塘半島の先端にある竜塘浦に海州港がある。市の東方には京畿湾に沿って開城市まで広大な延白平野が展開し,また西方にも甕津(おうしん)半島や長山串へ至る比較的低平な平原が広がる。古くから周囲の穀倉地帯の中心地としてまた軍事上の要衝として重視された。もと孤竹とよばれたが,高麗時代に首都開城の西の守りとして海州と名づけて都護府が置かれ,李朝時代は黄海道都として節度使が置かれた。第2次大戦後,黄海道の南北分割措置にともない黄海南道の主都となった。周囲の平野地帯は稲作を主とする農業,山地では石灰石等の採掘,また京畿湾ではイシモチ,ノリ等の水産業が盛んであり,これらの産業活動を背景に海州市では商業をはじめ,セメント,造船,陶磁器等の工業が発達している。海州港は拡張工事が行われて大型船の接岸も可能となり,貿易港ともなっている。市内には首陽山城,15世紀初めの建築物芙蓉堂,文廟等歴史的名勝地が多い。
執筆者:谷浦 孝雄
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北朝鮮、黄海南道(こうかいなんどう/ファンヘナムド)にある都市。江華湾(こうかわん/カンホワマン)に臨み、市街地は北に首陽山(899メートル)、南に南山(122メートル)を控え、東西側がわずかにすり鉢形に開いている。海州はもと孤竹といわれていたが、高麗(こうらい)の太祖王建のとき(940)、大海に面しているので海州に改められた。当時は対中国貿易の中心地として交易が盛んであったが、1906年新設の京義線(ソウル―新義州)から外され発展が遅れた。のちに黄海線が開通し、延白・載寧平野の穀倉地帯と前面に延坪島(えんぺいとう/ヨンピョンド)のグチの大漁場を控え、黄海道の代表的な物資集散地となった。54年黄海道が南北2道に分離され南道の中心都市となった。市内には道人民委員会、国立病院、海州医大、師範大と製錬所、セメント工場がある。古都として名所古跡も多く、1526年建立の芙蓉(ふよう)堂のほか、石氷庫、海州九層塔と百済(くだら)清風碑がある。
[魚 塘]
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…朝鮮八道の一つである。独立後,朝鮮民主主義人民共和国に属し,行政的には載寧江を境に,東を黄海北道(道都沙里院),西を黄海南道(道都海州)に分割されている。
[自然]
北東から南西方向へ走る彦真,滅悪二つの山脈は北部こそ1000mほどの高さをもつが,大部分は500m以下の残丘性の山地を連ねている。…
※「海州」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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