有用な魚類、甲殻類、貝類などを海の大規模な区画を用いて管理育成し、動物タンパク質を多く供給する未来技術システム。この構成技術としては、(1)親魚の養成、採卵と孵化(ふか)を含めた種苗生産技術、(2)種苗を海域に放流して給餌(きゅうじ)し、保護育成する種苗育成技術、(3)成育に適した漁場を維持するための栄養補給、溶存酸素の確保、水質の改善などの漁場管理技術、(4)放流した群の生物学的遠隔操作などによる監視、産卵親魚の保護、収獲サイズの区別、収獲などの資源管理技術と収獲技術、(5)海洋汚染、水温・塩分などの環境評価監視技術、(6)人工魚礁、人工藻場(もば)、人工サンゴ礁、人工湧昇(ゆうしょう)流、消波装置などの造成や設置技術があり、これらの技術の向上によって、未来技術である海洋牧場の技術的な可能性は近づく。
一方、資源管理技術の一環として、また水中作業技術の開発として、イルカやアシカの優れた遊泳能力、潜水能力、音による探知能力などの能力を利用する研究も行われている。これは、海洋牧場で養成した魚類の収獲時の追い込み、害敵の駆除、伝染性魚病グループの隔離などにイルカやアシカを活躍させようとする遠大な試みである。このほかに、有索ロボット(制御装置とケーブルで結ばれているロボット)、無索ロボット(ケーブルのないロボット)の研究開発なども進められている。
[山田 稔]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…しかし食料として直接利用されるものは中・高級魚が多く,魚種によっては自国の200カイリ水域内では不足する。 日本では養殖,増殖,さらに将来の海洋牧場へといわゆる栽培漁業の推進に努め,この分野では世界で最も事業化が進んでいる。以前は増・養殖の多くは種苗を天然産に依存していたが,これを人工的に孵化させ飼育管理することができるようになって大きく改善されつつある。…
※「海洋牧場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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