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海洋牧場 かいようぼくじょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

海洋牧場
かいようぼくじょう

魚介類を人工的に育成,管理する漁業を行うための一定海面。栽培漁業の一形態。海洋を牧場に見立てて,そこで種苗を育成 (人工孵化,放流) し,漁場を管理 (産卵場,生育場の造成) しつつ,そこで育った成魚を収穫 (漁獲) するもの。現在までうなぎ,はまち,虹ますなどの増養殖業が企業化されてきたが,今後は自然の水産資源が乏しくなっていく見込みなので,人工孵化で人工的に魚を生産する,この「新しい漁業」が脚光を浴びてきた。海洋牧場の本格的な構想は,海洋を水泡や音波や電気スクリーンで囲いをつくり,または音響馴致,産卵習性の利用,海底や深海に太陽光をあてて海藻プランクトンなどを育成し,魚貝類増殖をはかるシステムなどにより,一定海面で魚介類を人工的に大量生産しようというもの。実用に向けてはまだ技術的な問題が多く残されている。

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デジタル大辞泉の解説

かいよう‐ぼくじょう〔カイヤウボクヂヤウ〕【海洋牧場】

海洋に人工の魚礁をつくり、魚介類を集約的に管理・増養殖する施設。

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大辞林 第三版の解説

かいようぼくじょう【海洋牧場】

人工の漁礁をつくり、水産資源を管理・育成する海域。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

海洋牧場
かいようぼくじょう

有用な魚類、甲殻類、貝類などを海の大規模な区画を用いて管理育成し、動物タンパク質を多く供給する未来技術システム。この構成技術としては、(1)親魚の養成、採卵と孵化(ふか)を含めた種苗生産技術、(2)種苗を海域に放流して給餌(きゅうじ)し、保護育成する種苗育成技術、(3)成育に適した漁場を維持するための栄養補給、溶存酸素の確保、水質の改善などの漁場管理技術、(4)放流した群の生物学的遠隔操作などによる監視、産卵親魚の保護、収獲サイズの区別、収獲などの資源管理技術と収獲技術、(5)海洋汚染、水温・塩分などの環境評価監視技術、(6)人工魚礁、人工藻場(もば)、人工サンゴ礁、人工湧昇(ゆうしょう)流、消波装置などの造成や設置技術があり、これらの技術の向上によって、未来技術である海洋牧場の技術的な可能性は近づく。
 一方、資源管理技術の一環として、また水中作業技術の開発として、イルカやアシカの優れた遊泳能力、潜水能力、音による探知能力などの能力を利用する研究も行われている。これは、海洋牧場で養成した魚類の収獲時の追い込み、害敵の駆除、伝染性魚病グループの隔離などにイルカやアシカを活躍させようとする遠大な試みである。このほかに、有索ロボット(制御装置とケーブルで結ばれているロボット)、無索ロボット(ケーブルのないロボット)の研究開発なども進められている。[山田 稔]

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世界大百科事典内の海洋牧場の言及

【海洋開発】より

…しかし食料として直接利用されるものは中・高級魚が多く,魚種によっては自国の200カイリ水域内では不足する。 日本では養殖,増殖,さらに将来の海洋牧場へといわゆる栽培漁業の推進に努め,この分野では世界で最も事業化が進んでいる。以前は増・養殖の多くは種苗を天然産に依存していたが,これを人工的に孵化させ飼育管理することができるようになって大きく改善されつつある。…

※「海洋牧場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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