減損会計(読み)ゲンソンカイケイ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「減損会計」の意味・わかりやすい解説

減損会計
げんそんかいけい

不動産、設備など事業用の固定資産の収益性が低下し、投資金額の回収見込みがたたなくなった場合に、その資産簿価一定の条件のもとで回収可能な金額に減額させる会計処理。減損処理ともいう。2004年(平成16)3月期から企業の自主判断で適用できるようになり、2006年3月期にはすべての上場企業に義務づけられた。具体的な処理の手続としては、まず対象となる固定資産について減損の兆候有無を判断し、減損の兆候があり、かつ将来キャッシュ・フロー総額が簿価を下回る場合は、簿価とその回収可能な金額との差額損失として財務諸表に反映させる。おもに金融商品を対象として毎期評価替えを行う時価会計とは違い、減損会計においては時価だけではなく使用価値や回収可能性を考慮に入れて処理を行う。また時価会計では、時価が簿価より高い場合は評価益も財務諸表に計上するが、減損会計では評価損のみを計上する。減損会計の対象資産には、機械装置、運搬具、知的財産権、営業権(のれん)なども含まれる。

[中村 稔]

『齋藤真哉編著『減損会計の税務論点』(2007・中央経済社)』

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株式公開用語辞典 「減損会計」の解説

減損会計

固定資産の減損会計とも呼び、不動産、設備などの固定資産の収益性が悪化し、投資金額の回収見込みが立たなくなった簿価を、一定の条件のもとで回収可能な金額に減額させる会計処理のことを意味します。具体的には、対象となる固定資産が減損の兆候の有無があるかどうかで判断し、減損の兆候があり、かつ将来キャッシュフローの総額が簿価を下回る場合は、簿価とその回収可能な金額との差額を損失として財務諸表に反映させます。平成18年3月期から適用が義務づけられています。減損会計の対象となる資産は、事業用の資産で、有形固定資産無形固定資産であるが、これは土地建物だけではなく、機械装置、運搬具、知的財産権、営業権(のれん代)なども含まれます。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「減損会計」の意味・わかりやすい解説

減損会計
げんそんかいけい
accounting for the impairment of assets

企業がもつ固定資産の価値が下落して簿価を大幅に下回った (含み損が発生した) 場合,簿価との差額を損失計上する会計手法。現行の時価会計と異なり,時価が簿価より高い際には,その含み益を計上する必要がない。欧米では実施済みで,日本では 2005年度から導入。不良債権などを抱えた企業に売却を促すねらいがある。対象は,本社や支店の土地・建物,工場の生産設備のほか,賃貸ビルなど投資目的の不動産など。

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会計用語キーワード辞典 「減損会計」の解説

減損会計

固定資産がその投資に見合ったキャッシュ・フローを見込めない場合固定資産の価値が下落してしまうことを減損会計といいます。減損会計の目的は、固定資産を時価で評価し、含み損を処分して認識するのではなくあくまでも回復が見込めない場合に計上することが目的。減損の手続きは次の3段階で行われる。1.減損の兆候。2.減損損失の認識。3.減損損失の認定。

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不動産用語辞典 「減損会計」の解説

減損会計

企業の所有する固定資産の価値が大幅に毀損している場合、将来の一定期間の予想収益と簿価との差額につき損失計上を義務づける会計制度。
土地・建物・倉庫など自己使用の物件に加え賃貸ビル等の投資用の物件も含まれます。減損会計は、2004年3月期より早期適用が可能となっており、2006年3月期には全上場企業に強制適用となる。

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