無形固定資産(読み)ムケイコテイシサン(英語表記)intangible fixed assets

デジタル大辞泉 「無形固定資産」の意味・読み・例文・類語

むけい‐こていしさん【無形固定資産】

固定資産のうち、物的な存在形態をもたない資産特許権借地権商標権実用新案権意匠権鉱業権などの法的権利と、企業の超過収益力を内容とする営業権の2種がある。

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精選版 日本国語大辞典 「無形固定資産」の意味・読み・例文・類語

むけい‐こていしさん【無形固定資産】

  1. 〘 名詞 〙 固定資産のうち具体的な形をなさないもの。特許権、借地権、著作権など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「無形固定資産」の意味・わかりやすい解説

無形固定資産
むけいこていしさん
intangible fixed assets

法律上の権利である特許権、実用新案権、意匠権、商標権、借地権、そして、超過収益力ということばで表される、経済的な意味の「のれん」のことをいう。超過収益力とは、たとえばM&A(企業の合併・買収)の場合、単純に、被買収会社の時価評価後の純資産が1億円とすると、それに対して1億2000万円で買収が成立した場合の超過支払い分の2000万円で、これがのれんとして計上される。つまり目に見えない部分に払った金額がプレミアム代ということである。その特徴は、建物備品などの有形固定資産tangible fixed assetsと、無形固定資産intangible fixed assetsの原語のタンジブルとインタンジブルの部分で表されている。すなわち、企業の事業に役だち収益の獲得に貢献する点では有形固定資産も同様の固定資産fixed assetsであるが、インタンジブルを「手に触れることができない」と訳すと、これがつまり無形、形がなく手に触れることができないとなる。その点で先の無形固定資産はどれも同じ性格をもっており、建物や備品等のように物としての形をもち手に触れることができる有形固定資産とは異なる。無形固定資産も有形固定資産と同様、減価償却対象になるが、具体的な残存価額をゼロとする点、償却期間は会社法等で定められている点などの償却の方法や、減価償却累計額勘定を用いず直接償却額をその取得原価から控除する方法(直接法)による仕訳を行うなどの点で異なる部分もある。

[近田典行]

『伊藤邦雄編著『無形資産の会計』(2006・中央経済社)』『広瀬義州著『知的財産会計』(2006・税務経理協会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無形固定資産」の意味・わかりやすい解説

無形固定資産
むけいこていしさん
intangible fixed asset

具体的に目に見える形をもたない固定資産で,法律上認められた権利や経済上の優位性を表わすものをいい,有形固定資産と対比される概念。 (1) 法律上の権利には,特許権,実用新案権,商標権,意匠権,著作権,借地権,地上権,鉱業権,漁業権,電気ガス施設利用権,専用側線利用権,電話加入権など,(2) 経済上の優位性を表わすものには営業権があり,これは「のれん」とも呼ばれる。営業権は,ある企業が有能な経営者や従業員などの人的資源,技術,財務,製品など,仕入先・得意先関係,立地条件などの点で有利な立場にあって,同業他社の平均的な利潤を上回る利潤 (超過利潤) を継続してあげられる能力を資産化したものである。営業権は有償または合併により取得した場合 (買入れのれん) に限り無形固定資産への計上が認められ,単なる「自家発生のれん」は現在認められていない。営業権以外の無形固定資産を無償で取得した場合は,公正な市場価額をもって取得原価とする。法律上の権利は,その権利が法律上保護されている期間を限度として償却を行う。営業権は商法上5年以内に毎決算期において均等額以上の償却が要求されているが,会計理論上は償却必要説と償却不要説がある。

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会計用語キーワード辞典 「無形固定資産」の解説

無形固定資産

具体的な形がない資産のことを無形固定資産といいます。無形固定資産は2種類あり、法律上の権利とそれ以外のものに分けられます。前者の例としては、特許権・借地権・商品権などがあり後者には、営業権・ソフトウェア・電話加入権などがあります。自社生産の場合は、原価計算基準に従って価格を判定し購入した場合は、原価の全て、また一部を加えないこともできます。無形固定資産は、通常定額法で償却します。

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株式公開用語辞典 「無形固定資産」の解説

無形固定資産

貸借対照表の借方の資産の部、固定資産のひとつ。会社が長期に利用する資産で、借地権や電話加入権、特許権・商標権(のれん)など、おもに目に見えない権利のことをいう。

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ブランド用語集 「無形固定資産」の解説

無形固定資産

無形固定資産とは貸借対照表に計上された無形資産で、営業権や特許権、電話加入権などがある。

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世界大百科事典(旧版)内の無形固定資産の言及

【固定資産】より

…前者の例として,土地,建物,備品,特許権,鉱業権等があり,後者の例として,定期預金,長期貸付金,関係会社有価証券等がある。固定資産は,さらに形態や性質等から,(1)有形固定資産,(2)無形固定資産,(3)長期投資資産に分けられる。(1)は具体的形状を有する固定資産であり,この中には土地,および建物,構築物,機械装置,車両,備品等の設備資産,さらに森林,鉱山,油田等の減耗性資産が含まれる。…

※「無形固定資産」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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