法律上の権利である特許権、実用新案権、意匠権、商標権、借地権、そして、超過収益力ということばで表される、経済的な意味の「のれん」のことをいう。超過収益力とは、たとえばM&A(企業の合併・買収)の場合、単純に、被買収会社の時価評価後の純資産が1億円とすると、それに対して1億2000万円で買収が成立した場合の超過支払い分の2000万円で、これがのれんとして計上される。つまり目に見えない部分に払った金額がプレミアム代ということである。その特徴は、建物や備品などの有形固定資産tangible fixed assetsと、無形固定資産intangible fixed assetsの原語のタンジブルとインタンジブルの部分で表されている。すなわち、企業の事業に役だち収益の獲得に貢献する点では有形固定資産も同様の固定資産fixed assetsであるが、インタンジブルを「手に触れることができない」と訳すと、これがつまり無形、形がなく手に触れることができないとなる。その点で先の無形固定資産はどれも同じ性格をもっており、建物や備品等のように物としての形をもち手に触れることができる有形固定資産とは異なる。無形固定資産も有形固定資産と同様、減価償却の対象になるが、具体的な残存価額をゼロとする点、償却期間は会社法等で定められている点などの償却の方法や、減価償却累計額勘定を用いず直接償却額をその取得原価から控除する方法(直接法)による仕訳を行うなどの点で異なる部分もある。
[近田典行]
『伊藤邦雄編著『無形資産の会計』(2006・中央経済社)』▽『広瀬義州著『知的財産会計』(2006・税務経理協会)』
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…前者の例として,土地,建物,備品,特許権,鉱業権等があり,後者の例として,定期預金,長期貸付金,関係会社有価証券等がある。固定資産は,さらに形態や性質等から,(1)有形固定資産,(2)無形固定資産,(3)長期投資資産に分けられる。(1)は具体的形状を有する固定資産であり,この中には土地,および建物,構築物,機械装置,車両,備品等の設備資産,さらに森林,鉱山,油田等の減耗性資産が含まれる。…
※「無形固定資産」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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