濫吹(読み)ランスイ

デジタル大辞泉 「濫吹」の意味・読み・例文・類語

らん‐すい【濫吹】

せい宣王という笛を聞くのが好きで楽人を大ぜい集めていたが、竽を吹けない男が紛れ込み、吹いているようなまねをして俸給をもらっていたという、「韓非子」内儲説上の故事から》無能な者が才能があるかのように装うこと。実力がなくて、その位にいること。濫竽らんう

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精選版 日本国語大辞典 「濫吹」の意味・読み・例文・類語

らん‐すい【濫吹・乱吹】

  1. 〘 名詞 〙 ( 斉の宣王が竽(う)を好み、三〇〇人の合奏団を形成したとき、ひとりの楽士が吹く技能をもたないままに、その合奏団に紛れ込んでいたところ、宣王没後、湣王が即位して、ひとりひとりに吹かせてみると、その楽士は遂に逃げ出したという「韓非子‐内儲説上」の故事による )
  2. 無能の者が才能のあるように装うこと。実力がなくて、その位にいること。濫竽(らんう)
    1. [初出の実例]「濫吹陪恩席、含毫愧才貧」(出典:懐風藻(751)春日侍宴〈安倍広庭〉)
    2. [その他の文献]〔江淹‐雑体詩・盧郎中諶感交〕
  3. 秩序を乱すこと。乱暴狼藉
    1. [初出の実例]「已乖制旨多渉濫吹」(出典:類聚三代格‐三・斉衡二年(855)八月二三日)

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普及版 字通 「濫吹」の読み・字形・画数・意味

【濫吹】らんすい

多数にまぎれて吹く。技量をごまかす。唐・元林白学士太夫人を祭る文〕愚なるも亦た喧に乘じて濫吹し、(あやま)りて(けいえい)(古の楽官(せんぎよく)の楽を五、帝(ていこく)の楽を六英という)に列せらる。

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故事成語を知る辞典 「濫吹」の解説

濫吹

能力がないのに、あるように見せかけることのたとえ。

[由来] 「韓非子ないちょぜい・上」に見えるエピソードから。紀元前四世紀、戦国時代の中国でのこと。せいという国の王は、笛の大合奏を聴くのが好きでした。そこで、王のもとには、笛吹きが上手だと売り込んできた人物が何百人も、召し抱えられていました。やがて、この王が亡くなり、次の王の時代になります。今度の王は、笛の独奏がお好み。すると、かつての自称、笛吹き上手の中には、逃げ出してしまった者もいたそうです。なお、「濫」は、「みだりに」と訓読みする漢字で、「自分で勝手に」という意味を表します。

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