熊谷直好(読み)クマガイナオヨシ

精選版 日本国語大辞典 「熊谷直好」の意味・読み・例文・類語

くまがい‐なおよし【熊谷直好】

  1. 江戸後期の歌人。初名、信賢。通称、助左衛門。周防国岩国の人。香川景樹に学び、桂門十哲の一人。軽妙清新な歌風で、著に「梁塵(りょうじん)後抄」「法曹至要抄註釈」、家集「浦の汐貝(しおがい)」など。天明二~文久二年(一七八二‐一八六二

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「熊谷直好」の意味・わかりやすい解説

熊谷直好
くまがいなおよし
(1782―1862)

江戸後期の歌人。周防(すおう)(山口県)岩国藩士。通称は八十八(やそはち)、のち助左衛門。号は長春亭。香川景樹(かげき)(桂園(けいえん))に和歌を学び、景樹の梅月堂扶持(ふち)争いにかかわって脱藩し、大坂に出て歌学に専念した。景樹門人1000人のうち、十哲といい四天王といい双璧(そうへき)というなかでかならず筆頭に置かれ、穏健な作風をもって知られる。景樹の『古今和歌集正義』序の解釈で八田知紀(はったとものり)と論争した『古今集正義総論補註(ほちゅう)』『同論弁』の歌論書、家集『浦の汐貝(しおがい)』『同拾遺』などのほか、和楽を好んで『梁塵後抄(りょうじんこうしょう)』の著もある。文久(ぶんきゅう)2年8月8日没、81歳。法名は不識庵香一居士(ふしきあんこういちこじ)。

[兼清正徳]

 山居冬到 終夜(よもすがら)まつのほだ火を焼(たき)明しわらぐつ打ん冬はきにけり

『兼清正徳著『熊谷直好伝』(1965・同書刊行会)』

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改訂新版 世界大百科事典 「熊谷直好」の意味・わかりやすい解説

熊谷直好 (くまがいなおよし)
生没年:1782-1862(天明2-文久2)

江戸後期の歌人,歌学者。周防国岩国に生まれる。16歳で香川景樹に入門,岩国藩の物頭・究方を務めながら,歌人として頭角をあらわし,木下幸文(たかふみ)と並んで桂園の双璧とされるにいたった。家集に《浦の汐貝》《浦の汐貝拾遺》等がある。歌学者としての業績に,師景樹の説を継承した《古今集正義序註追考》等があり,なかでも神楽,催馬楽の注解《梁塵後抄》が有名。
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百科事典マイペディア 「熊谷直好」の意味・わかりやすい解説

熊谷直好【くまがいなおよし】

江戸後期の歌人。幼名八十八,後に助左衛門。周防(すおう)岩国藩士。16歳で香川景樹に和歌の添削を受け,19歳で上洛,景樹に師事。木下幸文(たかふみ)とともに桂園の双璧と称される。歌風は《古今和歌集》を奉じ優麗繊細。家集は《浦の汐貝》,主著《古今集正義序註追考》など。
→関連項目木下幸文

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「熊谷直好」の解説

熊谷直好 くまがい-なおよし

1782-1862 江戸時代後期の歌人。
天明2年2月8日生まれ。周防(すおう)(山口県)岩国藩士。香川景樹(かげき)(桂園)の門人。香川家の紛争にかかわって脱藩。京坂で歌学に専念し,木下幸文(たかふみ)とともに桂園の双璧(そうへき)と称された。文久2年8月8日死去。81歳。通称は助左衛門。号は軽舟亭,長春亭。家集に「浦のしほ貝」,注釈書に「梁塵後抄(りょうじんこうしょう)」など。
【格言など】池水に見えてのみふる春雨は音きくよりも寂しかりけり(「浦のしほ貝」)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熊谷直好」の意味・わかりやすい解説

熊谷直好
くまがいなおよし

[生]天明2(1782).岩国
[没]文久2(1862).8.8. 大坂
江戸時代後期の歌人。名は信賢,のち直好と改名。通称,八十八,のち助左衛門。岩国藩の家臣の家に生れ,香川景樹に師事し,木下幸文 (たかぶみ) とともに桂園派の双璧といわれた。師の歌風,歌論を継承したが,一層平淡な歌風。歌集『浦の汐貝』 (1845) ,『浦の汐貝拾遺』 (56) ,神楽 (かぐら) ,催馬楽 (さいばら) の注釈書『梁塵後抄』 (59) などがある。

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367日誕生日大事典 「熊谷直好」の解説

熊谷直好 (くまがいなおよし)

生年月日:1782年2月8日
江戸時代後期の歌人
1862年没

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