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留置権 りゅうちけんZurückbehaltungsrecht

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

留置権
りゅうちけん
Zurückbehaltungsrecht

他人のの占有者がその物に関して生じた債権を有する場合,その完済を受けるまではその物を留置することができる権利。日本民法上の法定担保物権(→担保物権)の一種で,先取特権と同じく,当事者間の特約がなくても法律上当然に認められる(295条)。相手方の履行まで物の引き渡しを拒絶できる点で,双務契約の結果として生じる同時履行の抗弁権(民法533)と類似するが,留置権は債権担保のためにのみ認められる担保権であり,物権であるから,第三者に対しても効力があり,事実上は確実に弁済を受けることができる。ただし,ほかの担保物権のように優先弁済を受ける権利(相手方不履行のときは,担保物を競売して代金から優先的に弁済を受ける権利)はない。もっとも,かつての競売法は競売権者のなかに留置権者を加えており,多数説は,優先弁済を有しない結果として,ほかの債権者の配当加入があれば,平等の割合で弁済を受けるにすぎないと解している。なお,民法上の留置権は破産財団に対し効力を失う。また,商法および会社法上に規定された留置権の総称を商事留置権という。これらの商事留置権は,破産などの場合には別除権が認められ(破産法66条1項,2条9項,民事再生法53条1項),会社更生の場合には更生担保権となる(会社更生法2条10項)。

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デジタル大辞泉の解説

りゅうち‐けん〔リウチ‐〕【留置権】

他人の物を占有している者が、その物に関して生じた債権弁済を受けるまで、その物を留置することのできる権利。例えば、時計の修繕人が修繕代金を受け取るまで、その時計を預かっておくなど。

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百科事典マイペディアの解説

留置権【りゅうちけん】

他人の物の占有者が,その物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置して,債務者の弁済を間接に強制する担保物権(民法295〜302条)。たとえば,時計商が修理代金の支払いを受けるまで修理した時計を留置する権利。
→関連項目物権

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世界大百科事典 第2版の解説

りゅうちけん【留置権】

一般に,他人の物の占有者が,その物に関して生じた債権の弁済を受けるまでの間,その物を留置(つまり目的物の占有を継続し引渡しを拒絶すること。ただし,留置物の保存に必要な限度でそれを使用することもできる)して,債務の弁済を間接的に強制する権利を留置権という(民法295条1項)。ただし,その占有が不法行為によって始まったものではないことが必要である(同条2項)。例えば,時計商が修繕代金の弁済を受けるまで時計を留置したり,ある物の瑕疵(かし)により損害をうけた場合に被害者がその損害賠償請求権に基づきその物を留置したり,2人が互いに傘をとりちがえて持ち帰った場合に相互に返還されるまでそれを留置したりすることが行われる。

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大辞林 第三版の解説

りゅうちけん【留置権】

他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を支配する権利。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

留置権
りゅうちけん

他人の物の占有者がその物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置することのできる担保物権(民法295条~302条)。たとえば、時計の修繕を頼まれた時計屋は、時計の持ち主が修繕代金を払うまでは留置権に基づいて、修繕した時計の返還を拒絶することができる。留置権は、留置した物に関して生じた債権を担保するために法律上当然に生じる担保物権であって、この点において、質権や抵当権のように当事者の契約によって生じる担保物権とは異なる。また留置権は、留置することによって間接的に債務の弁済を促す働きをもつ物権であるから、物の価値を把握するという性格を有するものでない。しかし、不動産留置権者は留置する物が競売された場合に買受人から債務の弁済を得ることができ(民事執行法59条4項・188条)、動産留置権者は差押えを拒絶することができる(同法124条・190条)から、留置権者は優先弁済権を有するのと実質的に異ならない。なお、債務が長い間弁済されないときには、留置権者は留置物を長い間保管しなければならないことになるが、このような不便から留置権者を解放するために、民事執行法では、留置権者が競売できるものとしている(195条)。[高橋康之]

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世界大百科事典内の留置権の言及

【不動産登記】より

… 不動産登記法が規定する登記しうる権利は,所有権,地上権,永小作権,地役権,先取特権,質権,抵当権(根(ね)抵当権を含む),賃借権および採石権の9種である(1条)。占有権,留置権は,占有という外形的事実が伴っていることから,登記をもって公示する必要がなく,入会(いりあい)権は,その内容が各地方の慣習によって定められ,その実体関係は一様でないため,登記によって公示することは事実上不可能であるなどの理由により,これらの権利は登記することができないものとされている。また,買戻(かいもどし)権については売買による所有権移転の登記と同時にする場合に限り登記することができ(民法581条,不動産登記法37条),不動産登記法1条に掲げた権利およびその権利に関する請求権については仮登記をすることが認められている(2条)。…

※「留置権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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