相続人以外の者で被相続人と生計を同じくしていたとか,被相続人の療養看護に努めたとか,その他特別の縁故関係があった者のこと。民法は,1962年の改正の際,相続人がいない場合に家庭裁判所はこれらの特別縁故者に清算後残存する相続財産の全部または一部を分与することができると規定した (958条の3) 。分与を受けようとする者は特別縁故者であることを示して,一定の期間内に家庭裁判所に分与の審判の請求をしなければならない。内縁の配偶者などは特別縁故者と認められることが多く,これにより内縁の夫婦間にもきわめて部分的にではあるが (相続人が他にいない場合に限られるが) ,相続財産を受けることが認められたことになる。このほか特別縁故者と認められた例としては,事実上の (内縁の) 養子,50年以上にわたり被相続人の相談相手として助け合ってきた者,また被相続人の永代供養をする菩提寺や,その収容されていた養老院など多岐にわたる。なお,分与されなかった相続人なき相続財産は国庫に帰属する (959条) 。
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被相続人と生計を同じくしていたり、被相続人の療養看護に努めたなど、被相続人と特別の縁故があった人。相続人がいない場合、相続財産の分与を受けることができる。
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死亡した者(被相続人)に相続人のないことが確定してから3ヵ月以内に,被相続人と特別の縁故があったとする者から申立てがなされ,家庭裁判所が相当と認めるときは,残存する遺産の全部または一部をこの者に分与する旨の審判をすることができる(民法958条の3,家事審判法9条1項甲類32号の2)。1962年の民法一部改正で新設された比較法的にも珍しい規定である。特別縁故者とは,厳密には,この遺産分与を受ける前提として,裁判所によって縁故の存在が認められた者をいう。
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