大分県南部、大野郡にあった旧町名(犬飼町(まち))。現在は豊後大野市(ぶんごおおのし)の北東部にあたる地域。旧犬飼町は1903年(明治36)町制施行。1955年(昭和30)長谷(ながたに)、戸上(とのうえ)の2村と合併。2005年(平成17)三重(みえ)町、清川(きよかわ)村、緒方(おがた)町、朝地(あさじ)町、大野(おおの)町、千歳(ちとせ)村と合併して市制施行、豊後大野市となった。当地は、江戸時代に竹田藩が熊沢蕃山(くまざわばんざん)送別の狩りをこの地で催した際、病んだ猟犬を藩主中川入山(にゅうざん)自ら看病したので、犬飼場というようになったという。大野川とその支流の野津(のつ)川、茜(あかね)川、柴北(しばきた)川が流れ、JR豊肥(ほうひ)本線と国道10号、57号、326号がこれらに沿って走る。中心部は竹田藩の河港として発達した所で、河岸段丘は水田、河谷間の丘陵は畑、西部山地は森林で、米、タバコ、繭、シイタケ、木材が主産物。田原の犬飼石仏は、像高3.76メートルの不動明王座像と1.7メートルの二童子像からなり、国指定史跡。名物にどんこ釣り大会(5月5日)がある。
[兼子俊一]
『『犬飼町誌』(1978・犬飼町)』
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