玉村(読み)たまむら

日本歴史地名大系 「玉村」の解説

玉村
たまむら

[現在地名]関ヶ原町玉

関ヶ原村の北東に位置する北国街道の宿場。村の西から南東へ藤古ふじこ川が流れる。地名は谷間地形にかかわる手間から生じたともいう。壬申の乱で大海人皇子が美濃と近江の国境線を支配下に入れた頃、玉倉部たまくらべ邑で小ぜり合いがあったが(「日本書紀」天武天皇元年七月一日条)、これを当地とする説がある。また同書景行天皇条にみえる「居醒井」も当地という。中世は玉村保として推移する。天正一一年(一五八三)一一月一三日の羽柴秀吉知行充行目録(稲葉文書)に「玉村」とみえ、当地を含む一帯が稲葉良通の所領になっている。


玉村
たまむら

[現在地名]高梁市玉川町玉たまがわちようたま

松山まつやま(現高梁川)西岸に位置し、対岸松山東まつやまひがし村。松山川の支流玉川(上流は増原川・大谷川)が流れ、てらしも大沢おおさわ神崎こうざき舟津ふなづ勘場かんばなどの集落がある。古歌に詠まれた「玉田」「玉田野」は当地のことという(備中誌)。寛永備中国絵図に村名がみえ、高一三〇石余、山崎家治先知。正保郷帳でも同高で松山藩領(以後の領主の変遷は松山西村に同じ)。雑木大・柴山小・芝草山大とあり、枝村に大沢神崎神羽かんぱかたかせの四村をあげる。元禄八年(一六九五)の旧松山領新高帳(羽場文書)では古高二五三石余・新高二八七石余。


玉村
たまむら

[現在地名]玉野市玉一―六丁目・奥玉おくたま一―三丁目・玉原たまはら一―三丁目

宇野うの村の南西に位置。東は瀬戸内海に面し、池から流れ出る白砂しらすな川の流域にある。古くはたまの浦といわれ、「万葉集」巻一五の「ぬばたまの夜は明けぬらし玉の浦にあさりする鶴鳴き渡るなり」は当地一帯を詠んだものといわれる。寛永備前国絵図では高三九八石余。以後、玉原新田二〇石七斗、玉村新田一一石六斗余(寛文四年備前備中当御代新田帳)などが開発され、享保六年(一七二一)に高四七七石余となっている(「免状」立石文書)。同年の田畠三二町六反余(うち塩浜七反余)、家数七二・人数七〇八、船一一(備陽記)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「玉村」の意味・わかりやすい解説

玉村(町)
たまむら

群馬県南部、佐波郡(さわぐん)にある町。1889年(明治22)町制施行。1955年(昭和30)芝根(しばね)村、1957年上陽(じょうょう)村を合併。同年、群南(ぐんなん)村の一部を編入。大部分は、北部を利根(とね)川、南部を支流の烏(からす)川に囲まれた三角地域の平坦(へいたん)地。中心地区の玉村は東西に長い街村型集落で、江戸時代は日光例幣使街道(れいへいしかいどう)の宿場町として繁栄し、現在は国道354号が通じ、バスが前橋、高崎、伊勢崎(いせさき)の各市に通じている。東端の五料(ごりょう)も利根川の河岸(かし)(河港)として栄えた。米・麦作を中心に、シュンギク、キュウリなどの野菜栽培が行われる。兼業農家が多いが、農業公社による農地利用の集積が進んでいる。また、東部工業団地が造成され、機械、鉄鋼、電器などの工場が進出している。玉村八幡宮(はちまんぐう)本殿は国指定の重要文化財。2月11日に行われる上福島(かみふくしま)のすみつけ祭りは奇習として有名。樋越(ひごし)神明宮の春鍬祭(はるくわまつり)は田遊び神事で国の重要無形民俗文化財に指定されている。1982年上之手(かみのて)に群馬県立女子大学前橋市から移設された。面積25.78平方キロメートル、人口3万6054(2020)。

[村木定雄]

『『玉村町誌』全11巻(1987~2005・玉村町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「玉村」の意味・わかりやすい解説

玉村[町] (たまむら)

群馬県中南部,佐波(さわ)郡の町。人口3万7536(2010)。利根川と烏川の間の低地を占め,高崎市,前橋市,伊勢崎市に囲まれる。中心集落の玉村は江戸時代,日光例幣使街道の宿場町で,街村状の市街をなす。農業が主産業で,米麦,養蚕などが中心だったが,近年は施設園芸や畜産も行われる。1975年に東部工業団地が完成し,自動車部品などの工場が操業している。県立女子大がある。玉村八幡宮の本殿は重要文化財に指定されている。
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百科事典マイペディア 「玉村」の意味・わかりやすい解説

玉村[町]【たまむら】

群馬県南部,佐波(さわ)郡の町。利根川と支流烏川の間の沖積低地を占める。中心の玉村は日光例幣使(れいへいし)街道の宿場町として発達した典型的な街村状の市街をなす。米麦作を行い,製紙,電機,鉄工業などの工場もある。玉村八幡宮がある。25.78km2。3万7536人(2010)。

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