デジタル大辞泉 「玉箒」の意味・読み・例文・類語 たま‐ばはき【玉×箒】 《「たまははき」とも》1 玉の飾りをつけたほうき。正月の初子はつねの日に蚕室を掃くのに用いた。「初春の初子ねの今日の―手に取るからに揺らく玉の緒」〈万・四四九三〉2 ほうきを作る草の名。コウヤボウキやホウキグサの古名という。「―刈り来こ鎌麻呂かままろむろの木と棗なつめが本をかき掃かむため」〈万・三八三〇〉3 美しいほうき。〈日葡〉4 憂いを払うほうきにたとえて、酒の異名。「患うれへを払ふ―、いかな大事も好物に」〈浄・妹背山〉 たま‐ぼうき〔‐ばうき〕【玉×箒】 1 「たまばはき」に同じ。「憂を掃う―と云う訳わけかね」〈蘆花・黒潮〉2 タムラソウの別名。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「玉箒」の意味・読み・例文・類語 たま‐ばはき【玉箒】 〘 名詞 〙 ( 「たまははき」「たまばわき」とも )① 古代、正月の子(ね)の日に、蚕室を掃くのに用いた、玉の飾りをつけた小さなほうき。玉箒①〈徴古図録〉[初出の実例]「始春(はつはる)の初子(はつね)の今日の多麻婆波伎(タマバハキ)手に執(と)るからにゆらく玉の緒」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四九三)② ( 「たま」は美称 ) 美しいほうき。[初出の実例]「うつくしき玉箒をもち木陰をきよめ給ひ候は」(出典:光悦本謡曲・田村(1428頃))③ 植物「こうやぼうき(高野箒)」、また「ほうきぎ(箒木)」の古名。[初出の実例]「玉掃(たまばはき)刈り来鎌麻呂室の樹と棗(なつめ)が本とかき掃かむため」(出典:万葉集(8C後)一六・三八三〇)④ 植物「たむらそう(田村草)」の異名。⑤ 植物「はこねしだ(箱根羊歯)」の異名。⑥ ( 現世の憂いを掃き払うことができるところから ) 酒の異名。[初出の実例]「ウレイヲ ハラウ tamabauaqi(タマバワキ)」(出典:日葡辞書(1603‐04)) たま‐ぼうき‥ばうき【玉箒】 〘 名詞 〙① =たまばはき(玉箒)[初出の実例]「『梅津君はよく酒が飲めるな』『憂を掃ふ玉箒(タマハウキ)と云ふ訳(わけ)かね』」(出典:黒潮(1902‐05)〈徳富蘆花〉一)② ユリ科の多年草。九州の山地の草原に生える。茎は、高さ五〇~一〇〇センチメートルでよく分枝し、先端は細かく分かれて葉状枝となる。葉は、卵状披針形。五~六月頃、葉腋に小さな黄緑色の鐘形花をつける。果実は、球形で赤熟する。〔日本植物名彙(1884)〕③ 植物「たむらそう(田村草)」の異名。〔日本植物名彙(1884)〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by
日本大百科全書(ニッポニカ) 「玉箒」の意味・わかりやすい解説 玉箒たまばはき 玉を飾り付けた箒(ほうき)で、蚕室(さんしつ)を掃くのに用いた。古代、中国の制に倣い、帝王が耕作をするのに用いる「辛鋤(からすき)」に対し、皇妃が養蚕をする意味を表すものとして、正月の初子(はつね)の日に飾ったのち、臣下に賜い、宴を開いた。この実物が現在正倉院に残っている。また、コウヤボウキ、ホウキグサ、タムラソウ、ハコネグサなどの植物の別名でもある。なお、「憂いを払うタマバワキ」といい、憂いを掃き除く意から酒の異名でもある。[藁科勝之] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例 Sponserd by
動植物名よみかた辞典 普及版 「玉箒」の解説 玉箒 (タマボウキ) 植物。イノモトソウ科の常緑多年草。ハコネソウの別称 玉箒 (タマバハキ) 植物。マツ科マツ属の常緑高木の総称。マツの別称 玉箒 (タマバワキ・タマボウキ) 植物。キク科の多年草。タムラソウの別称 玉箒 (タマボウキ) 植物。高野箒または箒木の古名 出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報 Sponserd by