理趣経(読み)りしゅきょう(英語表記)Prajñāpāramitā-naya-śata-pañcaśatikā

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

理趣経
りしゅきょう
Prajñāpāramitā-naya-śata-pañcaśatikā

仏教経典。中国,唐の不空によって訳出 (763~771) 。1巻。詳名は『大楽金剛不空真実三摩耶経』。サンスクリット語原典,チベット語訳,漢訳の類本数種が現存。一切万物の本質が本来清らかなものであることを強調し,いかにして仏国土をこの世に実現すべきかを説く。密教の極意を説く経典として,真言宗では常に読誦する。

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デジタル大辞泉の解説

りしゅきょう〔リシユキヤウ〕【理趣経】

大乗経典。1巻。不空訳。「般若経」の理趣分に相当。般若の空の理趣が清浄であることを説くもので、密教の極意を示すとして真言宗で常に読誦する。大楽金剛不空真実三摩耶経。般若理趣経。

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百科事典マイペディアの解説

理趣経【りしゅきょう】

大乗仏教の密教経典の一つ。サンスクリット原典は部分的に残るのみで,一般に用いられる8世紀後半の不空訳は《大楽金剛不空真実三摩耶(まや)経般若理趣品》という。また〈般若理趣経〉とも。1巻。真実の知恵(般若)の極致(理趣)は現実の愛欲や欲望をそのままの形で汚れないものとして肯定できる立場(一切法自性清浄)である。この苦楽を超越した絶対境(大楽)が悟りであると説く。日本の真言宗では最も重要な経典。
→関連項目大般若波羅蜜多経

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世界大百科事典 第2版の解説

りしゅきょう【理趣経】

密教経典の一つ。原題はサンスクリットで《プラジュニャーパーラミターナヤ・シャタパンチャシャティカーPrajñāpāramitānaya‐śatapañcaśatikā》(《般若波羅蜜多理趣百五十頌》)。サンスクリット原典は部分的にしか残っていない。チベット語訳および漢訳6種が現存する。一般に用いられるのは不空訳(8世紀後半)の《大楽金剛不空真実三摩耶経般若理趣品》である。般若経典の一つであるが(玄奘による訳名《大般若経第十会,般若理趣分》),内容は純然たる密教経典で,真実の理法そのものである法身の大日如来が金剛薩埵(こんごうさつた)のために般若の理趣(根本の理法)を説いたものとされる。

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大辞林 第三版の解説

りしゅきょう【理趣経】

〔正式には「大楽金剛不空真実三摩耶経」〕
一巻。真言宗の読誦経典。不空訳。大般若経理趣分に相当する。万物の本体が清浄であることを明らかにし、即身成仏の教義を説く。男女の愛欲などの欲望肯定的傾向が強い。般若理趣経。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

理趣経
りしゅきょう

大乗仏教の最初期の経典。仏の真実の境地に至る道(理趣)を示せる経を意味する。具名(ぐみょう)を『般若(はんにゃ)理趣経』という。また不空(ふくう)訳では、『大楽金剛(だいらくこんごう)不空真実三摩耶(さんまや)経』が具名で、「般若波羅蜜多(はらみった)理趣品(ぼん)」が異名であるとされ、その逆に解釈することもある。後期の『般若経』の一つで、『大般若経』の547巻の「理趣品」の発展形態である。密教経典の一つとしてみれば、第六全の『金剛頂経』の一部(大楽最上経)とも解釈できる。要するに本経は、大乗仏教の極地である「般若=空」の思想が発展の極地に達し、いまや、空より不空、不空真実の境地を示すに至ったと理解すべきものである。空は理念上の境地でなく、実践のすべてを自由無礙(むげ)たらしめる無執着の境地を意味するに至った。ここを示すため、いまやこの経典を示す説法の場は「他化自在天王宮」の中となり、説法の主は薄伽梵毘盧遮那如来(ばがぼんびるしゃなにょらい)となり、すべて従来の現実のインドの舞台を離れて、完全に秘密の仏国土に移っている。徹底した現実肯定の「不空」「大楽」の世界観の背後には、強い自己調伏(ちょうぶく)(降伏(ごうぶく))の道が示されている。本経は、密教の極意を示すものとして真言宗では常に読踊(どくじゅ)される。[金岡秀友]
『八田幸雄編『梵蔵漢対照 理趣経索引』(1974・平楽寺書店)』

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世界大百科事典内の理趣経の言及

【般若経】より

…逆に短いものとしては,《金剛般若経》《般若心経》などがよく知られている。密教化した《理趣経》なども般若経典の一部である。これらを集大成したものが玄奘訳《大般若経》600巻である。…

【理趣三昧】より

…仏事の法要名。《理趣経》を中心とした密教立(みつきようだて)の法要。真言系諸宗で勤め,護摩供(ごまく)とともにもっとも多用される。…

※「理趣経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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