出産直後に炊いて産神(うぶがみ)に供え、生児と産婦に供する飯。ウブタテ飯、ウブヤの飯、オビヤ飯、オビタキの飯などと、呼び方も多い。生児にかわって産婆が食べる習わしの所もある。産飯にはさまざまな俗信が伴っている。まず生児の頭が丸くかつ堅くなるようにと丸い石をのせる。女児ならばえくぼができるようにとくぼみをつけたり、飯に箸(はし)を立てる所もある(熊本県)。一生生活に不自由なく、大暮らしをするようにと、1升(1.8リットル)の米を炊いて産神に供え、あとは近所の子供や女の人をよんでなるべくたくさんの人に食べてもらう。このとき男の人が混じると子供の力が抜けると、長野県の南佐久郡ではいう。対馬(つしま)(長崎県)でウブノゴハンというのは、出産直後茶碗(ちゃわん)に1杯だけの飯を炊き、お菜なしで産婦に食べさせるもので、1杯だけ炊くというのは死者の枕飯(まくらめし)の場合と同じ作法である。概して九州地方には、ウブメシの共食者の数の多いことを喜ぶ例が多く、福岡地方では産神に供えたあとのウブメシを見舞客に一箸(はし)ずつ分けて食べてもらうとか、子供と婦人の、なるべく多数に分けて食べてもらうといいという所が多い。同じウブメシという名称でも、山陰地方では2日目、3日目、またはお七夜の飯をいう。この飯には小石をのせるが、石は氏神様や屋敷神のそばから、または川原で生石(いきいし)を拾ってくるとか、雨垂れの下から拾ってくるなど、さまざまの伝承があるが、産神様の御神体、あるいは依代(よりしろ)と考えられている所が多い。
[丸山久子]
産後ただちに炊いて産神に供える米の飯。茶碗に高盛りにする。人は一生の間に3度高盛飯(たかもりめし)を食うものだ(産飯,婚礼の高盛飯,枕飯)というが,その第1回めが産飯である。産飯は生児,産婦に供するとともに産婆や手伝人などなるべく多くの女たちに食べてもらう。その人数が多いほど生児は丈夫に育ち,大きな世帯をもつという。この最初の共食者は女性のみで,男は七夜がすむまで産のけがれを恐れて参加しない。産神と生児と膳が一つで,どちらに供えたものかはっきりしない例があるが,これは日本人の古い信仰の一つで,以前は神に仕える者は神と共食するものであったといわれる。産神と産子が共食するという意味であろう。産飯の膳には高盛飯のほかに〈石のおかず〉といって1~3個の小石をのせる風が全国的にみられる。小石は浜や川原,家の雨だれ落ちのところ,氏神の境内などから拾ってくる。小石は生児の頭が固くなるための呪いというが,本来は産神の依代(よりしろ)と考えられていた。
執筆者:大藤 ゆき
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