(読み)コブ

デジタル大辞泉 「瘤」の意味・読み・例文・類語

こぶ【×瘤/×癭】

病気のために筋肉が固くなるなどして、皮膚が高く盛り上がっているもの。
からだの一部をひどく打ったりして、そこが一時的に盛り上がったもの。たんこぶ。「転んで額に―ができる」
表面が盛り上がっているもの。「ラクダの―」「木の―」
ひもの結び目
自由な行動のさまたげになるもの、やっかいなもののたとえ。多く、子供をいう。「目の上の―」「―つきの女性」
[補説]書名別項。→

りゅう【瘤】[漢字項目]

[音]リュウ(リウ)(漢) [訓]こぶ
筋肉などに生じる塊状の突起。こぶ。「根瘤腫瘤しゅりゅう動脈瘤

こぶ【瘤】[書名]

秋元不死男による句集。昭和25年(1950)刊。収録された句のうち約半数が、昭和16年(1941)から昭和18年(1943)にかけて、秋元が俳句弾圧事件で投獄されていた際の獄中句。

しい‐ね〔しひ‐〕【×瘤】

こぶ古名。〈和名抄

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精選版 日本国語大辞典 「瘤」の意味・読み・例文・類語

こぶ【瘤・&JISECDB;】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 病気のため、筋肉がこり固まって皮膚の一部がうずたかくなったもの。外傷性のもの、癌腫(がんしゅ)肉腫などの腫瘍(しゅよう)性のもの、先天性のものなどが含まれる。しいね。ふしべ。ふすべ。
    1. [初出の実例]「頸の下に癭有て、年来(としごろ)、〈略〉医(くすり)を以て療治すと云へども」(出典:今昔物語集(1120頃か)一五)
  3. 打撲によって頭などにできる皮膚の隆起の俗称。医学的には皮膚下の血管が破れてできた局部性の血腫(けっしゅ)を意味する。
    1. [初出の実例]「瘤(コブ)に成たる所へ唾を塗りつけ摩(さす)って居る」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)五)
  4. 樹木や物などの表面がうずたかくかたまりになったもの。
    1. [初出の実例]「藤の疣(コフ)を煎じてめせとぞ教へける」(出典:米沢本沙石集(1283)二)
  5. ひも、なわなどのかたむすび、またはむすびめ。
  6. ( 形動 ) 邪魔になるもの。妨げとなるもの。また、そのように妨げになるさま。厄介物。
    1. [初出の実例]「今さらおもへばお長といふこぶもあり」(出典:人情本・春色辰巳園(1833‐35)三)
    2. 「言ひ兼ねえ男さ、それだから自分も瘤な事を言はれるのだ」(出典:歌舞伎・処女評判善悪鏡(白浪五人女)(1865)四幕)
  7. 身についた厄介なもの。特に、養育しなければならない子どもなど。「こぶつき」
    1. [初出の実例]「一夜の情一生の瘤」(出典:雑俳・俳諧觿‐二一(1813))

しい‐ねしひ‥【瘤】

  1. 〘 名詞 〙 こぶ。
    1. [初出の実例]「奴安居万呂 年六〈右方与保呂久保爾在志比禰 額黒子一〉」(出典:正倉院文書‐天平勝宝二年(750)九月五日・奴婢見来帳)

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普及版 字通 「瘤」の読み・字形・画数・意味


15画

[字音] リュウ(リウ)
[字訓] こぶ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は留(りゆう)。留は溜り水の意。流した水が一所に留滞することをいう。〔説文〕七下に「腫(は)れものなり」、〔釈名、釈疾病〕に「瘤はなり。血聚りて生ずる瘤腫(りうしよう)なり」という。水には溜といい、肉塊の疾には瘤という。

[訓義]
1. こぶ、しいね。
2. 肉のかたまり、はれもの。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕瘤 之比(しひね)〔名義抄〕瘤 シヒネ 〔字鏡集〕瘤 ハレモノ・ヒルモ・シヒネ

[語系]
瘤・留・溜・霤liuは同声。留は流した水が、一所に留滞することをいう。みな留の声義を承ける語である。

[熟語]
瘤魁瘤結・瘤腫瘤贅瘤瘡
[下接語]
瘤・宿瘤・贅瘤・肉瘤

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改訂新版 世界大百科事典 「瘤」の意味・わかりやすい解説

瘤 (こぶ)

筋肉内あるいは皮下などに塊ができて,表面に隆起したものをいう。筋肉が収縮してできるのは生理的瘤である。病的瘤としては,良性,悪性の腫瘍,炎症性肉芽,出血による血腫などがある。なお,打撲後にできる〈瘤〉(俗に〈たんこぶ〉ともいう)は局所性の水腫である。
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百科事典マイペディア 「瘤」の意味・わかりやすい解説

瘤【こぶ】

生体の一部が限局的に盛り上がったもの。ヒトではおもに病的なものをいう。打撲による瘤はおもに皮下血腫が原因で頭部にできやすい。そのほかに腫瘍(しゅよう),炎症,出血などが原因となる。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【粉瘤】より

…アテローマとも呼ばれる。皮膚と癒着する,やや硬く,境界は鮮明な腫瘤で,下部組織とは癒着しない。きわめてゆっくりと増大し,大きくなると表面は半球状に隆起し,俗にこぶと呼ばれる状態となる。…

※「瘤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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