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白地手形 しらじてがたinchoate instrument,Blankowechsel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

白地手形
しらじてがた
inchoate instrument,Blankowechsel

後日所持人をして手形要件の全部または一部を補充せしめる予定のもとに,手形要件を記載しないで白地のまま手形となるべき書面に署名して流通においたもの。本来手形要件の記載を欠く手形は,特に法により救済される場合のほかは無効である (手形法2条1項,76条1項) から,そのうえに振出し,裏書,引受けなどの手形行為をしてもそれらはすべて無効のはずである。しかし,原因関係上の債務の金額,弁済期などがいまだ定まっていないときに手形金額,満期などを記載しないで手形を流通におく実際上の必要があるところから,手形取引の円滑をはかるために,実際上の需要に応じて古くから白地手形が商慣習として行われ,すでに旧法のもとにおいても商慣習としてその効力が承認されていたものである。これは完成した手形と同様の方法で流通せしめられ,善意取得 (→即時取得 ) および人的抗弁の切断が認められる。手形法は,白地手形を認めることを前提として,その補充権の濫用の場合につき規定を設けている (10,77条2項。なお,白地小切手については小切手法 13) 。白地手形は,要件の欠けた無効な手形 (不完全手形) と異なり,後日所持人がその白地を補充すれば完全な手形となり,その所持人は手形上の権利を行使することができる。

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デジタル大辞泉の解説

しらじ‐てがた〔しらヂ‐〕【白地手形】

手形行為者が要件の全部または一部を空白にしたまま署名し、後日その空白にした要件を取得者に補充させる意思で流通においた手形。

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百科事典マイペディアの解説

白地手形【しらじてがた】

手形金額,受取人等必要な要件を空白のまま発行し,その補充を取得者にまかせている手形。未完成の手形であり,欠けた要件が補充されれば完全な手形となる。支払金額や弁済期が未確定の場合,他人に手形割引斡旋(あっせん)を依頼する場合等に用いられる。

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世界大百科事典 第2版の解説

しらじてがた【白地手形 Blankowechsel[ドイツ]】

後日所持人に手形要件の全部または一部を補充させる意思で,ことさらにこれを記載せず,つまり白地のまま,署名して流通におかれた証券。手形要件が欠けたものであるから,厳格な意味においては手形と異なる(手形法1,2,75,76条)。しかし,白地を補充する権利(補充権)が付与され,その行使による完成が予定されている,いわば未完成な手形である点で,単に要件を欠くため無効とされる不完全手形と区別される。振出人が署名して流通におく場合(白地振出し)が多いが,引受人裏書人,保証人による場合(白地引受け空白裏書,白地保証)もある。

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大辞林 第三版の解説

しらじてがた【白地手形】

要件の全部または一部を空白にしたまま発行される手形。空白は後日取得者が補充することが予定されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

白地手形
しらじてがた

未完成手形のことで、後日、手形所持人に手形要件の全部または一部を補充させる予定のもとに、要件を記載せず白地のまま署名して流通に置かれたもの。本来、手形要件を具備しないものは手形として効力を生じない。しかし、売買など原因関係上、売買代金や弁済期などがまだ確定していないときでも、手形を流通に置く必要があるため、実際界の需要に応じて、古くから商慣習法としてその効力が認められていたが、現行の手形法はその有効性を前提とした白地手形の規定を置いている(10条)。白地手形として認められるためには、手形行為者の署名が必要であるが、その署名はかならずしも振出人の署名である必要はなく、実際上も振出しに先だって白地のまま引受けの署名がなされる例が多い。また、白地手形であるためには、要件の欠缺(けんけつ)が後日補充される予定がなければならない。補充の予定がない場合は不完全手形として無効である。また、要件の欠缺の種類は問わないから、手形金額のほか、支払地・受取人などの要件を欠く場合もある。白地手形の所持人はいつでもその白地を補充して完全な手形にすることができる。この権利を補充権といい、補充権の濫用があった場合でも、白地手形の署名者はその違反をもって善意の手形取得者に対抗できず、補充された文言に従って責任を負わなければならない(手形法10条)。以上のことは白地小切手についても同様である(小切手法13条)。[戸田修三]
『前田庸著『手形法・小切手法入門』(1983・有斐閣) ▽長谷川雄一著『白地手形法論――その法律的構成と基本問題』改訂版(1986・商事法務研究会) ▽鈴木竹雄著、前田庸補訂『法律学全集32 手形法・小切手法』新版(1992・有斐閣)』

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