北海道南西部、胆振(いぶり)総合振興局管内の町。1954年(昭和29)町制施行。町名はアイヌ語シラウオイ(虻(あぶ)の多いところの意)による。JR室蘭(むろらん)本線、国道36号が通じ、道央自動車道白老インターチェンジがある。太平洋に臨む古くからの要衝の地で、江戸末期には運上屋が置かれ、1855年(安政2)には仙台藩が駐屯し守備にあたった。仙台藩陣屋跡(国史跡)が原型に近い形で残っている。室蘭、苫小牧(とまこまい)の両工業地の中間にあって、元来農村であるが、背後の溶結凝灰岩からなる台地や高台、狭い海岸地区は砂丘と降下火山灰で地味(ちみ)悪く、夏季にしばしば濃霧の襲来もあって耕作条件はよくない。肉牛飼育と社台牧場をはじめとする競走馬育成、鶏卵生産、シイタケ栽培が農業生産の主体である。ケガニ、コンブ、たらこなどの水産物もある。北吉原地区に大昭和製紙(現、日本製紙)工場が設立(1959)されて以後、旭化成なども進出(1968。2010年閉鎖)、石山地区には1989年(平成1)以来二つの工業団地が造成され、食品、機械、住宅設備などの工場が進出して道央工業地域の一環を形成している。1982年以来地方港湾として整備されてきた白老港は、1990年(平成2)漁港区が、1995年商港区が、それぞれ一部開港した。虎杖浜(こじょうはま)海岸では温泉ボーリングが成功して白老・虎杖浜温泉ができ、国道沿いに旅館、ドライブインが建ち並び、温泉付き住宅地も売り出された。東部、海岸寄りのポロト湖付近にアイヌ民族の集落を再現したポロトコタンがあり、文化遺産や資料を収集、展示するアイヌ民族博物館が設置されている。西端の倶多楽湖は支笏洞爺国立公園域に含まれる。面積425.64平方キロメートル、人口1万6212(2020)。
[奈良部理]
北海道南西部,胆振(いぶり)支庁白老郡の町。人口1万9376(2010)。白老岳(968m),ホロホロ山(1322m)などの南東斜面に位置し,南は太平洋に面する。古くからアイヌの集落として開けた地で,松前藩の場所(交易所)が置かれ,1855年(安政2)には東蝦夷地の警備を命ぜられた仙台藩の陣屋が設置された。明治以後,多くの開拓者が入植した。農業は火山灰土壌と夏の海霧のため不振であるが,社台牧場での競走馬生産や,背後の台地では黒毛和種の肉牛飼育と養鶏が行われる。沿岸部はスケトウダラ,ケガニなどの漁業が盛んである。道央新産業都市の指定をうけ,大昭和製紙(現,日本製紙)などの工場が立地している。白老市街地の北に白老仙台藩陣屋跡(史),東部沿岸のポロト湖畔にアイヌ文化伝承の場として,チセ(家),ヌサ(祭壇)などを復元した白老アイヌコタンとアイヌ資料館がある。登別温泉に近接して俱多楽(くつたら)湖があり,海岸平野には白老臨海温泉(食塩泉,40~57℃)がある。海岸沿いをJR室蘭本線,国道36号線が通り,道央自動車道のインターチェンジがある。
執筆者:山下 克彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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