益子焼(読み)マシコヤキ

デジタル大辞泉 「益子焼」の意味・読み・例文・類語

ましこ‐やき【益子焼】

栃木県益子町から産する陶器。嘉永6年(1853)ごろ、大塚啓三郎創始という。初めは日用雑器を焼いたが、大正末期に浜田庄司が独自の作風を始め、現在は民芸陶器として知られる。

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精選版 日本国語大辞典 「益子焼」の意味・読み・例文・類語

ましこ‐やき【益子焼】

  1. 〘 名詞 〙 栃木県芳賀郡益子地方産の陶器。嘉永六年(一八五三)、大塚啓三郎が同地の陶土を発見して創始したという。京焼系の相馬焼の流れをくみ、当初、水がめ・土瓶火鉢など日用雑器を作って盛んとなった。近年は壺・茶碗茶器などの民芸陶器によって知られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「益子焼」の意味・わかりやすい解説

益子焼
ましこやき

栃木県芳賀(はが)郡益子町の陶窯およびその製品。窯(かま)場は益子町の栗生(あお)、倉見沢、滝ノ入、東山、脇屋(わきや)などに広がっている。発祥は江戸時代末期と比較的遅く、茨城県笠間(かさま)焼の陶技を受けた大塚啓三郎により1853年(嘉永6)ごろ開窯とする説、それより早く菊地清蔵がすでに焼物を製していたとする説があるが、一般的には啓三郎が陶祖となっている。1855年(安政2)三田称平が郡奉行(こおりぶぎょう)となって窯業の奨励を行い、明治まで黒羽(くろばね)藩の指定窯として土地の人々の甕(かめ)、すり鉢、土瓶などの生活用具を中心とした雑器窯として発展した。製品は白濁釉(ゆう)、黒釉、緑釉を掛け流す、いわゆる掛け分け釉陶のほか、染付、鉄絵、イッチン描(びょう)などの絵付陶も焼造した。1924年(大正13)陶芸家浜田庄司(しょうじ)が益子に定住して、民芸的な創作活動を行ってからは活況を呈し、現在は創造性の強い食器、飾り皿、花瓶などがつくられている。

矢部良明]

『『探訪日本の陶芸12 益子・会津』(1980・小学館)』

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改訂新版 世界大百科事典 「益子焼」の意味・わかりやすい解説

益子焼 (ましこやき)

栃木県芳賀郡益子町にある陶器窯。江戸時代末期,1853年(嘉永6)に茨城県の笠間から益子の大塚平兵衛方に婿養子になってきた啓三郎によって開かれたといわれる。また土地の菊池清蔵を開祖とする説もある。黒羽藩の指定窯とされ,明治になって民営に移ったが,益子焼の名をたかめたのは,1924年に民芸運動の中心的役割を果たした陶芸家,浜田庄司が定住して仕事をはじめたことによる。本来の益子焼はわら灰による白濁釉,銅呈色による緑釉,鉄呈色による褐釉をかけた甕(かめ)・擂鉢(すりばち)・土瓶など日用民具を焼いて,それほど特色はなかったが,現在では食器,飾皿,花瓶など創作性の強い製品をつくっている。
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百科事典マイペディア 「益子焼」の意味・わかりやすい解説

益子焼【ましこやき】

栃木県益子町で作られる焼物。嘉永年間,大塚啓三郎により開窯されたといわれる。笠間焼や相馬焼の技術を導入して土瓶,土鍋など素朴な日用雑器を生産。大正末期に浜田庄司がこの地に定住,民芸運動の興隆につれて著名になった。

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「益子焼」の解説

益子焼[陶磁]
ましこやき

関東地方、栃木県の地域ブランド。
主に芳賀郡益子町・真岡市で製作されている。19世紀半ばに笠間焼の影響を受けて始まった。当初は黒羽藩の保護を受けて日用品を焼き、江戸へ出荷していた。その後、現在の飲食器や花器がつくられるようになった。益子の良質な陶土を使い、白化粧・刷毛目などの伝統的な技法で、力強い作品が大量につくりだされる。栃木県伝統工芸品。1979(昭和54)年8月、通商産業大臣(現・経済産業大臣)によって国の伝統的工芸品に指定。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「益子焼」の意味・わかりやすい解説

益子焼
ましこやき

栃木県芳賀郡益子町で産する陶器。嘉永6 (1853) 年大塚啓三郎が開窯。安政年間 (54~60) に塩谷郡泉村内に白土が発見され,京焼風の日常雑器も生産したが,1924年に浜田庄司が定住して陶窯を築き,その指導によって品質が向上し,民芸運動の盛上がりとともに民芸陶として有名になった。

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