江戸幕府が真鍮の吹立(ふきたて)および販売を差配させた座。初め真鍮の吹立は京都のみで行われたが、のちに江戸、大坂、伏見(ふしみ)、堺(さかい)などにおいても製造された。幕府は1780年(安永9)銀座の付帯事業として真鍮座を設立し、自由営業は停止となった。そのため真鍮吹立を業とする者は真鍮座に属して差配を受け、また真鍮需要の細工人は、真鍮座から株札(かぶふだ)の交付を受けた仲買人から購入した。松平定信(さだのぶ)による幕政改革の際、真鍮座は1787年(天明7)に廃止となり、その吹立・販売はふたたび自由となった。江戸時代の銭貨には、銅銭・鉄銭のほかに真鍮で鋳造した真鍮銭があった。1741年(寛保1)に大坂で鋳造した寛永通宝(かんえいつうほう)真鍮銭をはじめ、71年(明和8)には秋田、1821年(文政4)には浅草、57年(安政4)には江戸深川においても真鍮銭がつくられた。
[作道洋太郎]
江戸時代,真鍮の吹立(ふきたて)(精錬)・販売を統制した機関。1780年(安永9),鉄座とともに銀座加役として設置。従来自由であった真鍮の吹方を江戸・京・大坂の三都に限定し,吹方職人はすべて三都の銀座役所に設けられた真鍮座の差配をうけることとなった。製造された真鍮は品位に応じ真鍮座が独占的に価格を決定したうえで,公定口銭の取得を認められた仲買に販売し,細工人はこの仲買から真鍮を買い入れることとされた。さらに吹屋・仲買には座から株札を渡し株仲間を結成させた。真鍮座の設置は1768年(明和5)以来の銀座での真鍮4文銭鋳造に関係するとみられ,運上収入も期待されていたといわれるが,87年(天明7)には寛政の改革の一環として鉄座とともに廃止された。
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…広島藩は1696年(元禄9)に,三次(みよし)藩は99年に鉄座を設け,領内産出鉄と大坂への鉄販売への独占を開始した。幕府は1780年(安永9)銀座加役として,真鍮座(しんちゆうざ)とともに鉄座を設置し,田沼政治の一環として,鉄・真鍮を専売制のもとにおいた。諸国に産出する鉄・釼(はがね)・銑のうちその産地(領内)で使う国用の分は別とし,それ以外はすべて山元から大坂問屋へ回送し,大坂鉄座が問屋から買い取ること,鉄販売は鉄座から仲買の商人を経て行うこと,鉄問屋・仲買商人は口銭(こうせん)を定めて株仲間とすることとした。…
※「真鍮座」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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