江戸時代,幕府や藩が設けた鉄の専売機関をいう。広島藩は1696年(元禄9)に,三次(みよし)藩は99年に鉄座を設け,領内産出鉄と大坂への鉄販売への独占を開始した。幕府は1780年(安永9)銀座加役として,真鍮座(しんちゆうざ)とともに鉄座を設置し,田沼政治の一環として,鉄・真鍮を専売制のもとにおいた。諸国に産出する鉄・釼(はがね)・銑のうちその産地(領内)で使う国用の分は別とし,それ以外はすべて山元から大坂問屋へ回送し,大坂鉄座が問屋から買い取ること,鉄販売は鉄座から仲買の商人を経て行うこと,鉄問屋・仲買商人は口銭(こうせん)を定めて株仲間とすることとした。85年(天明5)に口銭規定の一部改定があったが,87年,大坂鉄商人・職人らのはげしい反対もあって,田沼政治の終息とともに廃止された。
執筆者:佐々木 潤之介
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江戸時代の鉄、銑(せん)の専売機関。鉄座を設立するまで鉄などの取引は自由であったが、幕府は老中田沼意次(おきつぐ)のとき、1780年(安永9)8月、銀座加役として真鍮(しんちゅう)座とともに鉄座を大坂に設け、諸国から大坂問屋に回送された鉄、銑はすべて鉄座を通して売買が行われた。このような流通機構の改革は、大坂問屋や職人たちに大きな脅威を与えたので、幕府はその仕法を改めて不平を緩和しようと努めたが、結局は1787年(天明7)9月、老中松平定信(さだのぶ)による寛政(かんせい)の改革の際、鉄座および真鍮座は廃止となった。これは、銅銭の不足を補うために、鉄銭・真鍮銭がこのころから盛んに鋳造されたので、その地金(じがね)の確保を容易にすることを目的とした施策であったとみられている。
[作道洋太郎]
江戸時代,幕府が設けた鉄の専売所。1780年(安永9)8月,銀座の加役として真鍮(しんちゅう)座とともに大坂に設置。諸国から産出する鉄や鋼(はがね)はすべて大坂問屋を経由して鉄座に独占的に買い取られ,その鉄を仲買の商人が独占的に販売し,鉄問屋・仲買商人は口銭(こうせん)を定めて株仲間とすることになった。鉄座の設置は田沼政治の一環として位置づけられ,鉄市場を独占的に支配することで幕府は大きな利益をあげたが,鉄商人・鍛冶職人らの反発が強く,田沼政治の終焉にともない,87年(天明7)9月に廃止。
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