精選版 日本国語大辞典 「矢立」の意味・読み・例文・類語
や‐たて【矢立】
- 〘 名詞 〙
- ① 矢を立て入れる道具。胡簶(やなぐい)などをいう。
- [初出の実例]「ままきのやたてのひらなるにむすびつけてつかはしける」(出典:散木奇歌集(1128頃)恋)
- ② 「やたて(矢立)の硯」の略。
- ③ 近世、腰にさして携行した筆記具。墨壺に筆のはいる筒をつけて、帯にはさむようになっている。
- [初出の実例]「旅人も作り字しるす矢立にて 詩の言葉にも遠寺の晩鐘」(出典:俳諧・独吟一日千句(1675)第二)
- ④ 矢を射て物に突き立てること。また、矢が突き立っている状態。
- [初出の実例]「駒をはやめてうつ程に、矢たてのすぎといひけるを」(出典:曾我物語(南北朝頃)七)
- ⑤ 鉄砲をうって山の神に献ずること。猪狩の獲物を分配した後、三度発砲する地と、一度発砲する地とがある。