江戸後期の国学者。本名は矩慶(のりよし)、通称は安右衛門。歌合(うたあわせ)では於富耶麻登(おおやまと)、大倭(おおやまと)を名のり、家号は槇屋(まきのや)。遠江(とおとうみ)国(静岡県)の生まれ。23歳で内山真龍(うちやままたつ)(1740―1821)の門に入り、26歳で本居宣長(もとおりのりなが)の門に入る。龍麿の名号は最初の師内山真龍の前名を受けたもの。とくに国語学に秀で、宣長に篤学者として早くから認められ、『古言清濁考(こげんせいだくこう)』(1795完稿、1801刊)は宣長の推賞を受けた。本書は上代文献の万葉仮名について調査し、後世と異なるものがあることを明らかにしたものである。続く『仮字用格奥能山路(かなづかいおくのやまじ)』(1796年ころ成稿。『仮名遣奥山路(かなづかいおくのやまみち)』とも表記される)は、広く上代文献を精査して、エ、キ、ケ、コ、ソ、ト、ヌ、ヒ、ヘ、ミ、メ、ヨ、ロの13の万葉仮名が2群に分かれて通用していて、両者の間では混用されないことをみいだしたものである。後年、本書は橋本進吉によってその真価が紹介され、いわゆる上代特殊仮名遣い研究の先駆として古代国語の研究に大きく寄与している。
[石塚晴通 2018年10月19日]
『橋本進吉著『古代国語の音韻に就いて』(1942・明世堂)』▽『小山正著『石塚龍麿の研究』(1956・小山正後援会)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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