改訂新版 世界大百科事典 「石油樹脂」の意味・わかりやすい解説
石油樹脂 (せきゆじゅし)
petroleum resin
石油化学工業で行われるナフサ分解の副生油の一部(不飽和性の高いジエン類)を原料とし,重合反応を行わせて樹脂状とした製品をいう。おもな用途は,紙のサイズ剤(紙質を高める目的で用いられ,インキの浸透性,平滑性,強度,安定性などを改良する),塗料,ゴム添加剤などである。石油樹脂の性状は原料と製法により大きく異なり,それによって用途もいろいろである。主原料はナフサ分解の重質不飽和留分であるが,副原料としてスチレン,マレイン酸などが用いられることもある。重合反応には硫酸,塩化アルミニウム,フッ化ホウ素などの酸性触媒が用いられ,触媒量,反応温度,反応時間などの条件によっても製品の品質が変化する。紙サイズ剤としては,天然産の松やに(ロジン)系のものに代わって需要が伸びた。タイル用(塩化ビニル樹脂,アスファルトタイルなどに併用),防水剤(布,紙,皮革,木材合板など)にも使われる。
執筆者:冨永 博夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報