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水墨画の用墨法の一つ。山や石などの立体感を墨の濃淡で表現する技法。盛唐前期に山水樹石画の用墨法として生まれた。唐の張彦遠の「歴代名画記」に王維(おうい)の破墨山水という記述がみえ,以後時代とともに変化発展したが,具体的には淡墨の面を濃墨で破りながら,作品を完成に導いていく方法と結論づけられている。墨面を主とする溌墨(はつぼく)と違い,輪郭線と墨面の併用に特色がある。しかし,日本では厳密には区別されず,雪舟筆「破墨山水図」の「破墨」は,ほとんど水墨と同義である。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
溌墨(はつぼく)とともに水墨画の技法を示す語。溌墨が先淡後濃といわれるのに対し、破墨は先濃後淡といわれる用墨法で、まず濃墨によってだいたいの形を描き、そののち淡墨を重ねて濃淡をつけたり、岩石の皴(しゅん)などを描き加えて立体感や生動感を表すもの。中国の盛唐前期(8世紀初頭)に山水樹石画などに用いられ、溌墨とともに水墨山水画発達の技法的な原動力となった。
[榊原 悟]
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