民事訴訟法上、不服申立てができない終局判決であっても、憲法問題を理由とするときは最高裁判所の判断を仰ぐことができる制度。違憲上告または再上告ともいう。刑事訴訟法上は、すべての上告審は最高裁判所が担当するので、この制度はない。
最高裁判所は、いっさいの法律、命令、規則または処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である(憲法81条)。そこで、通常の不服申立てができなくなった裁判についてでも、憲法問題を理由とするときは、その不服についてさらに最高裁判所で判断を受ける機会を設けておく必要がある。すなわち、高等裁判所が上告審としてなした終局判決、および仮差押えまたは仮処分に関し高等裁判所が第二審もしくは第一審としてなした終局判決、または地方裁判所が第二審としてなした終局判決に対して、その判決に憲法の解釈の誤りがあること、そのほか憲法違反があることを理由とするときは、最高裁判所にさらに上告することができる(民事訴訟法327条)。しかし、この特別上告は原判決の確定を遮断しない(同法116条)から、その性格は本来の上訴とはいえない。それは確定判決を対象とする点で再審の訴えに類似する不服申立てであるが、この訴訟手続には、その性質に反しない限り一般の上告に関する規定が準用される(同法327条2項)こととなっている。
[内田武吉・加藤哲夫]
民事訴訟において,高等裁判所が上告審として下した終局判決に対して,憲法の解釈の誤りその他憲法の違反があることを理由とするときに限り,とくに最高裁判所にすることができる上告(民事訴訟法327条1項)。違憲上告ともいう。また高等裁判所が上告審として下した終局判決に対してなされるものは,再上告といわれることもある。特別上告は,憲法上最高裁判所が,一切の法律,命令,規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する終審裁判所であるとされていること(憲法81条)に基づいて,上告審判決ではあっても最高裁判所によるのでないものに関して,憲法問題についてだけはとくに最高裁判所の判断を受ける道を保証するために設けられているものである。特別上告は判決の確定を遮断する効力を持たず(民事訴訟法116条),判決が確定していることを前提としているので,本来の意味の上訴には属さない。しかし特別上告とその上告審の手続については,その性質に反しない限りで通常の上告に関する規定が準用され(327条2項),提起期間,提起の方式,理由書の提出等は通常の上告に準じる。なお刑事訴訟においては,上告審はすべて最高裁判所が担当するので,特別上告は必要でない。
執筆者:大須賀 虔
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