翻訳|tax law
国および地方公共団体の租税に関する法規の総称。税法ともいう。租税法は、租税実体法(租税義務の内容を示す)、租税組織法(税務行政組織および税務職員の権限などを示す)、租税手続法(租税の賦課・徴収および納税義務者の救済ならびに義務違反者に対する処罰などを示す)などの分野からなる。
租税法の全体を律する基本原則には、租税法定主義と公平負担の原則とがある。租税法定主義は、租税の賦課・徴収はかならず法律によるべしとするもので、その内容としては、〔1〕課税要件法定主義(課税権者、納税義務者、課税物件、課税標準、税率などの課税要件ならびに租税の賦課・徴収の手続は法律によって規定されなければならない)、〔2〕課税要件明確主義(法律・政令・省令において課税要件を定める場合、その定めは一義的で明確でなければならない)、〔3〕遡及(そきゅう)立法禁止原則(過去の取引から生ずる租税債務の内容を、事後の立法によって納税者の不利益に変更することは許されない)、〔4〕合法性原則(課税要件が充足されている場合、税務官庁には租税減免の自由、徴収しない自由はなく、法で定められたとおりの税額を遅滞なく徴収しなければならない)などがある。公平負担の原則とは、租税負担は担税力に応じて配分されるべきであるとするもので、水平的公平負担(同一担税力者には同一負担を)と垂直的公平負担(異なる担税力者には異なる負担を)とがあるが、現実の税制にはこの面ではかなり問題がある。
[一杉哲也]
租税に関する法規範の全体を意味する場合(実定法としての租税法)と,租税に関する法の体系的・理論的研究を目的とする独立の法分野を意味する場合(学問としての租税法)とがある。
実定租税法は,国税に関する法と地方税に関する法に分かれるが,国税については,所得税法,法人税法等,各国税に関する法律と,国税通則法,国税徴収法,国税犯則取締法等,各国税に共通の事項について定める一般法ないし通則法とがある。各法律を施行するために,施行令(政令)と施行規則(大蔵省令)がある。関税については,関税法が自足的な定めをしており,国税通則法等は適用されない(とん税,特別とん税についても,国税通則法等ではなく関税法の定める一般的規定が適用される)。地方税については,地方税法があり,さらに地方税法に従って各地方公共団体が定める条例,規則がある。
学問としての租税法は,租税法序説,租税実体法(租税債務法),租税手続法,租税争訟法,租税処罰法等の各分野からなるが,その重要性は近年増大しつつある。租税法の基本原則として,租税法律主義と租税公平主義とがある。
→租税
執筆者:金子 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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