空(そら)(読み)そら(英語表記)sky

翻訳|sky

日本大百科全書(ニッポニカ) 「空(そら)」の意味・わかりやすい解説

空(そら)
そら
sky

戸外で仰ぐときに目に入る地物・海洋生物・天体以外の部分を、空といっている。天空ともいう。

 雲は、空の一部をなすものであるか、それとも空に浮かぶだけの存在なのか、にわかには定めがたいが、気象観測においては「空の状態」を、雲のありようによって区別している。これは国際的な定めである。国内および国際的に交換する気象電報には、この空の状態をかならず含めることになっている。

[平塚和夫]

空の状態による分類

空の状態は、全部で30通りに分類されている。

 雲の基本形は10であるが、空の状態においては、さらにこれら各基本形の種、変種などを見分け、かつ、異なるものの共存をも考慮することになっている。そして、雲底が、(1)比較的低い層にあるもの、(2)中層にあるもの、(3)比較的高い上層にあるもの、についてそれぞれ九通りずつに分類し、それにそれぞれの層に雲のない場合を加えて、全部で30通りに分類するのである。

 この国際的分類とは別に、気象観測においては、すべての雲によって覆われている部分の全天空に対する割合、つまり全雲量によって天気を分類することがある。これは、全雲量が(1)1以下の場合を快晴、(2)2以上8以下を晴、(3)9以上の場合は、見かけ上の最多雲量が巻雲(けんうん)・巻積雲巻層雲およびこれらの組合せによる場合を薄曇、その他の雲による場合を曇、とする分類法である。

 これらの気象観測上の分類以外にも、一般に人々は「空模様」ということばで、そのときの天気のようすを表現している。これには、まったく雲のない状態からどしゃ降りまでのすべての場合が含まれている。生活感覚的には、空と雲とは密接不離の関係にある、といってよい。

[平塚和夫]

光の散乱と空の色合い

太陽光線のなかの波長の短い青色系の部分は、空中を進むときに空気の分子に当たって散乱される。波長の長い赤色系の部分は、空中に大きな水滴やちりなどがない限りは、そのまま散乱されずにほぼまっすぐに進む。晴天の日中に空が青く見えるのは、おもに青色系の散乱された部分が目に入るからである。

 朝や夕方には、日光は、空気の層を進む距離が日中に比べて長くなり(空気の厚い層を進むこととなり)、青色系の部分は途中で散乱されてしまい、赤色系の部分だけがとくに目に入りやすくなる。朝焼け夕焼けは、このようにしておこる。

 晴天の日の青、朝夕焼けの赤のほかにも、空が色づくことがある。雲の一部分が色づき、雲の動きにつれて染まった部分も動くことがある。これを彩雲といい、高積雲に現れやすい。また光冠といって、高積雲などを通して太陽や月を見た場合に、太陽や月の周りが色づいている現象がある。これらは、雲の水滴に当たった太陽や月の光線が各色に分かれるためである。また別に、太陽や月を中心として描いた輪が、巻層雲に現れることがあり、これを日の暈(かさ)、月の暈という。巻層雲の氷粒が光を屈折させた結果である。

 このほか、煤塵(ばいじん)や煤煙によって空の一部が黒灰色に染まることがある。大気汚染の一つである。石炭多用時代にはこのような汚染が多かったが、石油消費量の増加とともに、空が染まる型から光化学反応の型へと移ってきた傾向がある。

[平塚和夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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