竪義(読み)リュウギ

デジタル大辞泉 「竪義」の意味・読み・例文・類語

りゅう‐ぎ〔リフ‐〕【×竪義/立義】

法会に際し、学僧試験するために行われた問答論議の儀式探題たんだい問題を出し、問者もんじゃが難詰し、試験を受ける竪者りっしゃがこれに答え、全体事務会行事えぎょうじが行う。

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精選版 日本国語大辞典 「竪義」の意味・読み・例文・類語

りゅう‐ぎリフ‥【竪義・立義・豎義】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「竪」は「豎」の俗字。音は「じゅ」であるが、「竪義」の場合は、「立」の音によって「りゅうぎ」と読む ) 仏語。
  2. 興福寺維摩会(ゆいまえ)や薬師寺最勝会(さいしょうえ)など、諸大寺の法会(ほうえ)に行なわれた学僧試業の法。また、これに参加するもののうち、探題の出す論題について、問者の難に答える竪者(りっしゃ)をさしてもいう。後世には形式化し、諸寺の法会の儀式となった。
    1. [初出の実例]「興福薬師両寺維摩最勝会竪義及第僧等」(出典:延喜式(927)二一)
  3. 義を立てて、主張すること。
    1. [初出の実例]「聖人の立義、文にかなひ理をふくめり」(出典:拾遺古徳伝絵詞(1301)三)

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改訂新版 世界大百科事典 「竪義」の意味・わかりやすい解説

竪義 (りゅうぎ)

豎義〉〈立義〉とも書く。〈竪〉は慣用音で立てるという意味。義を立てる,理由を主張するということ。仏教では諸大寺の法会にあたって行われた学僧試業の法のこと。また論題提出僧すなわち探題より出された問題について,自己の考えを教理をふまえて主張する僧を指す場合も多い。この場合は竪義者というが,単に略して竪者(りつしや),立者ともいう。南都の三会,東大寺法華会・方広会や,興福寺慈恩会,園城(おんじよう)寺十月会,延暦寺六月会などは竪義を設け,学業の成果を判定した。江戸時代中期以降,大和長谷寺においても伝法会が設けられて竪者を立てるなど,僧階補任あるいは昇叙の一階梯とした。式は論義を中心とするもので,竪者は講座の上に着座する。まず探題が問題を設け,問者(もんじや)が質問し,竪者がそれに反答し,その問答を注記が記録,精義者が判定して得否すなわち及落を定める。中世以降はまったく形式化し,問いも答えも固定化して抑揚をつけて読みあげる節も定まった。竪義は学僧への初段階の試験であり,三会の竪義を遂行した僧は得業と称せられるなど,已講(いこう)への階梯として重視された。
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百科事典マイペディア 「竪義」の意味・わかりやすい解説

竪義【りゅうぎ】

〈竪義〉〈立義〉とも書く。〈論義〉を中心とした学僧の試験をいう。僧階昇進・補任のための要件となった。受験者である竪者(りっしゃ)は,探題(たんだい)が出題し,問者(もんじゃ)によって与えられた問10題に答え,証義者の判定を仰ぎ,探題による最終判定を受けた。中世以降は形式化し,問答ともにあらかじめ決められたものを節をつけてよみあげるに至った。
→関連項目法華会

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「竪義」の意味・わかりやすい解説

竪義
りゅうぎ

僧侶の実力を検定するために諸宗諸大寺で行われた論議問答。現在はおもに住職の資格や階位昇進を目的とする。竪義者 (受験者) ,探題 (仏教諸学に関する 10問を選んで竪義者に課し,最終的な決定を下す最高責任者) ,問者 (種々の質問を出す者) ,精義 (竪義者の解答の可否を判断する者) ,注記 (記録者) ,会行事 (雑務係) の諸役が一堂に会して執行する。 10題すべてに及第した者は古来皆無といわれるほどこの試験は厳重であったが,後世は,その論目などを暗誦して,完全に形式化し,詞章の朗誦には一定の曲節をつける。延暦寺六月会,長谷寺伝法大会,東大寺方広会などがある。

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世界大百科事典(旧版)内の竪義の言及

【探題】より

…(1)仏教教学における僧の役名。学問僧の資格試験〈竪義(りゆうぎ)〉の出題,採否にかかわる最高責任者。竪義は,経論の要義を問答の中で披瀝する論義という形式で行われるが,探題はその論題を選定し,論義の経過を見届けて採否を慎重に吟味し,最終的な判定を行う。…

【竪者】より

…仏教学における学問僧の資格試験竪義(りゆうぎ)の受験者のこと。学問僧としての実力を問われ,合格の場合は講師(こうじ)などの重要な役につく資格を与えられる。…

※「竪義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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