宮城県北部、栗原郡(くりはらぐん)にあった旧町名(築館町(ちょう))。現在は栗原市の南東部を占める地域。旧築館町は、1896年(明治29)町制施行。1954年(昭和29)玉沢、宮野、富野の3村と合併。2005年(平成17)若柳(わかやなぎ)、栗駒(くりこま)、高清水(たかしみず)、一迫(いちはさま)、瀬峰(せみね)、鶯沢(うぐいすざわ)、金成(かんなり)、志波姫(しわひめ)の8町および花山村(はなやまむら)と合併して市制施行し、栗原市となった。東北自動車道、国道4号、398号が通じる。北部と南部は丘陵で、中央を一迫川、北端を二迫(にのはさま)川が流れる。南東端には国指定天然記念物のハクチョウの飛来地として有名な伊豆沼(いずぬま)、内沼(うちぬま)がある。両沼はラムサール条約指定湿地に登録され、沼の自然や昆虫の生態を紹介した「サンクチュアリーセンターつきだて館」がある。また、周辺には縄文期の遺跡が多い。奈良中期には伊治城(いじじょう)が設置されていた。近世には中心の築館は奥州街道の宿場となり、また宮野には代官所が置かれた。明治期には郡役所が設置され、以後、商業、行政の中心地。双林寺(そうりんじ)の木造薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)などは国の重要文化財。また双林寺では仙台藩時代からの互市(たがいち)が現在も行われる。
[後藤雄二]
『『築館町史』(1976・築館町)』
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