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中国、前近代の歴史叙述の形式の一つ。紀伝体(きでんたい)や編年体(へんねんたい)の歴史書の弱点を補うために創案された体裁であり、重要な事件を時代ごとに選び、各事件について完結的にその起承転結を年月日を追って叙述する。編年体の歴史書の代表作である、北宋(ほくそう)、司馬光(しばこう)の『資治通鑑(しじつがん)』を改編した『通鑑紀事本末(つがんきじほんまつ)』(南宋、袁枢撰(えんすうせん)。42巻)がこの形式の最初のものである。たとえばその第1巻は、「三家、晋(しん)を分ける」「秦(しん)、六国を并(あわ)す」「豪傑、秦を亡ぼす」の3項からなっている。明(みん)・清(しん)時代には『左伝(さでん)紀事本末』(清、高士奇(こうしき)撰)があり、また宋、元、明、遼(りょう)、金、西夏などの時代についての多くの紀事本末体のものが編纂(へんさん)された。
[尾形 勇]
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…もともと中国の歴史記述の様式には紀伝体と編年体があるが,前者は各パートが独立しているため,同一の〈事〉が重複して現れることがあるし,後者は時間が主で〈事〉が従であるため,複数の〈事〉が並行して記述されたり,ひとつの〈事〉がしばしば寸断される結果,〈事〉をひとまとまりとしてとらえがたいという欠点がある。袁枢はここに第三のスタイルとして紀事本末体を創案し,その克服を図ったのである。その後,《宋史紀事本末》をはじめ,ひと口に《九朝紀事本末》と呼ばれる多くの史書がこのアイデアを踏襲した。…
※「紀事本末体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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