一般には描かれた模様や図柄・図案,あるいはその手本や下絵などをいうが,日本建築においては装飾として部材に付けられた繰形(くりがた),彫刻や模様を指す。絵様は木鼻(きばな),虹梁(こうりよう)や大瓶束(たいへいづか),肘木(ひじき),蟇股(かえるまた),簑束(みのつか),手挟(たばさみ),持送,格狭間(こうざま)などにほどこされ,基本的には輪郭に曲線を組み合わせたものを用い,内部表面にもそれに対応した曲線や文様を彫りこんでいる。肘木に絵様を付けたものは,とくに絵様肘木と呼ぶ。絵様は平安時代以前では蟇股や須弥壇の格狭間ぐらいしかなかったが,鎌倉時代に禅宗様や大仏様の建築が伝わってからは盛んに用いられ,以来時代とともに発展して種類が多くなり,用いられる範囲も広がった。絵様は時代の特色がよく表れていて,建物の建立年代を判定する上に役立つばかりでなく,意匠の優劣を左右する大きな要素でもある。
→建築装飾
執筆者:浜島 正士
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…しかし,建築装飾には象徴的な意味の伝達機能があるという肯定的評価も根強い。【鈴木 博之】
【日本】
日本建築のおもな装飾法は,部材に刳形,絵様をつけ,彫刻を付加すること,塗装,彩色や漆塗を施すこと,飾金具を打つことなどである。
[刳形,絵様,彫刻]
刳形は,建築,家具,器物などの仕上げにおいて,部材を刳ってつくる装飾的な形で,猪目形(いのめがた),葉入り(よういり),洲浜形などがある。…
…なお,厨子は宮殿(くうでん)ともいう。
[絵様,繰形]
部材の輪郭を装飾的な意味で曲線状につくったものを繰形といい,表面に彫ったり描いたりされた文様を絵様(えよう)という。和様に用いられた装飾的曲線は蟇股,笈形,手狭(たばさみ),懸魚,格狭間,雲斗(くもと),雲肘木などであるが,大仏様と禅宗様では木鼻(きばな)(貫や梁の先端をいう),台輪の先端,実肘木(さねひじき),拳鼻(こぶしばな),垂木の先端などに絵様,繰形が用いられ,それらがしだいに動植物を表す彫刻へと進展し,桃山時代になって画期的な発展を見る。…
※「絵様」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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