綿向山(読み)わたむきやま

日本歴史地名大系 「綿向山」の解説

綿向山
わたむきやま

鈴鹿山脈の一峰で、同山脈主峰御在所ございしよ山の西方に位置する。山域は日野町・甲賀土山つちやま町・神崎郡永源寺町にまたがり、おお嶽・朝日あさひ山・錦面きんめん山・奇日くしひ峰などともよばれた(蒲生旧趾考)野洲やす川や日野川の水源地にあたり、標高一一一〇メートル。全山が秩父古生層に覆われ、西麓の登山口でもある日野町北畑きたばた水木野みずきの地区は地質学上貴重な種々の接触変成岩を産し、接触変質地帯として国指定天然記念物。古くから山岳信仰の対象とされ、山頂にはだけ神社(大嶽社)が祀られる。同神社の里宮が村井むらい馬見岡綿向まみおかわたむき神社(古くは単に綿向神社、あるいは綿向大明神などとよばれた)で、山名は同社祭神の天穂日命以下三神の神霊が当山頂に降ったときに降雪があり、山頂があたかも綿に包まれたようだったからとか、付近一帯が養蚕の盛んな土地柄で「わたつむぎ」が転訛したものとかいわれている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「綿向山」の意味・わかりやすい解説

綿向山
わたむきやま

滋賀県南東部、蒲生(がもう)郡日野町、甲賀(こうか)市土山(つちやま)町の境にある山。鈴鹿山脈(すずかさんみゃく)の一峰で、日野岳、朝日岳ともよばれる。標高1110メートル。秩父中・古生層からなり、西の山麓(さんろく)部には国指定天然記念物の「接触変質地帯」がある。周辺は、かつては日野蚕種・日野絹の名で知られた養蚕地域であったが、養蚕は衰退した。「わたむき」は「わたつむぎ」から転化したといわれ、山麓の日野町にある蚕の祖神を祀(まつ)る綿向神社の神体山として古くから山岳信仰の対象とされてきた。山頂部には綿向神社の奥の院があり、社殿造替は20年ごとに行われる。西麓には西明(さいみょう)寺がある。

高橋誠一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「綿向山」の意味・わかりやすい解説

綿向山
わたむきやま

滋賀県南東部,東近江市甲賀市日野町の2市1町の境界付近にある山。鈴鹿山脈の主峰の一つ。標高 1110m。鈴鹿山脈はこの付近で西に向かって急な綿向断層崖をなして近江盆地に臨む。断層崖の「綿向山麓の接触変質地帯」 (国指定天然記念物) でケイ灰石などがみられる。山麓の日野町にある馬見岡綿向神社はかつて山頂にあったもので,綿向山が神体。山頂付近にブナの天然林がある。鈴鹿国定公園に属する。

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事典・日本の観光資源 「綿向山」の解説

綿向山

(滋賀県蒲生郡日野町)
近江三山」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

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