職務分析(読み)しょくむぶんせき(英語表記)job analysis

  • 職務分析 job analysis

世界大百科事典 第2版の解説

生産の機械化,工場生産制の発展に伴う生産組織の規模拡大は,労働過程の分業協業・専門化を進展させ,その結果,組織的な生産に対する個々の労働者の貢献とそれに見合った成果配分の判断基準は,手工業的・生業的な労働形態が少なくなるにつれてあいまいになってきた。こうしたなかで,経営体の人事労務管理の基本単位として登場してきたのが職務jobという概念である。当時(1900年代初頭)の工場管理は職長に全権が集中し,採用・解雇賃率の設定が恣意的に行われていたが,その現状を科学的に分析し,大量生産方式による大規模経営の管理に原則を与えたのは,F.W.テーラーである。

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大辞林 第三版の解説

特定の職務に必要な知識や経験および環境条件などを分析し、職務内容を明確に位置づけること。人員の採用・配置・訓練などのために行われる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

組織のなかで1人の構成員が分担し遂行する仕事の全体を職務、人事管理や組織管理の基礎資料とするために職務の内容を分析することを職務分析という。各職務について明らかにすべき項目は、(1)職務内容(目的、概要、遂行の方法と手順)、(2)労働負担(労働の強度・密度)、(3)労働環境(寒暑、明暗、乾湿、静騒、粉塵(ふんじん)・ガス・震動等の特殊条件)、(4)危険災害(感電、爆発、火災、高所、災害率、職業病罹病(りびょう)率)、(5)職務要件(体力、知識、経験、資格、個性)、(6)結果責任(職務を遂行しなかった場合の人的・物的損害の程度、制裁)、(7)指導責任(後進者育成の内容と必要)、(8)監督責任(監督者による指揮・監督の内容と程度)、(9)権限(その職務に伴う権限の範囲)などである。
 職務分析の実施方法には、(1)実際の担当者による自己記入、(2)分析者による観察、(3)面接聴取、(4)統計データ使用、(5)測定、(6)検査などがあるが、通常は、周到な準備と計画のもとに各種の方法が併用される。職務分析の結果は、職務記述書や職務明細書にまとめられ、人事管理については、採用、昇進、配置転換、人事考課、教育訓練、賃金、安全衛生などの資料とする。とくに職務給を採用する場合には、職務分析が絶対的要件となる。組織管理については、職務の分担、部門の編成、指揮監督、各種規程の作成などの資料となる。[森本三男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〙 人事管理や組織管理に役立てるため、従業員の職務について、その内容、労働負担、危険災害、職務要件、責任などを明らかにすること。

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世界大百科事典内の職務分析の言及

【職務給】より

…もともと1930年代以降アメリカの大企業や官公庁など,多数の職種をかかえた経営体で採用されるようになった賃率設定のための技術である。まず(1)経営体のなかのさまざまな職務について,仕事の質・量,内容,方法,作業を遂行するのに必要な資格条件,作業条件を記述し,作業の範囲,量,資格条件などを確定すること(職務分析),(2)その結果を各職務に必要な責任,努力,教育・訓練の程度,生理的・心理的条件・環境などの評価要素により,相対的に評定し,職務を分類すること(職務評価・職務分類),(3)それに基づいて職務等級に格付けし,賃率を結び付ける賃金表を作成すること,(4)各職務に従業員を配置するための昇進試験,人事考課の諸制度をつくり昇給・昇進管理のルールを設定すること,である。 日本では,職務給は十条製紙が1952年に導入したのが最初である。…

※「職務分析」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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