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腎盂がん/尿管がん じんうがんにょうかんがんRenal Pelvic Cancer/Ureteral Cancer

家庭医学館の解説

じんうがんにょうかんがん【腎盂がん/尿管がん Renal Pelvic Cancer/Ureteral Cancer】

[どんな病気か]
 腎臓(じんぞう)の組織(腎実質(じんじっしつ))からしみ出した尿は、まず腎杯(じんぱい)というすき間にたまり、つぎに腎臓内に袋状に広がる腎盂(じんう)に集まります。集まった尿は、腎盂と膀胱(ぼうこう)を結ぶ太さ5mmほどの細い管(尿管)の中を流れていきます。
 腎杯・腎盂・尿管の内面は、膀胱と同じように、移行上皮(いこうじょうひ)という粘膜(ねんまく)でおおわれています。この粘膜から発生したがんが、腎盂がん(腎杯がんとはいわず、腎盂がんに含めて呼ばれる)と尿管がんです。
 ほとんどが、移行上皮がんですが、腎盂・尿管がんの約10%は、扁平上皮(へんぺいじょうひ)という細胞とよく似た組織をもつがん(扁平上皮がん)です。
 腎盂がんは腎臓にできる腫瘍(しゅよう)の約10%を占め、患者さんの約3分の2は男性で、50歳以降に多く発病します。
 また、約5%の患者さんでは、左右両方の腎盂や尿管に、がんが発生します。片側だけの場合も、がんの病巣が腎盂・尿管の別の場所に、複数できることもあります。
 わりあいに早期のもの(表層より外の組織に広がったり、転移していないもの)では、術後5年たっての生存率(5年生存率)も比較的よいのですが、がん細胞の悪性度の高いものや、外の組織まで広がったり転移したものでは、約20%の生存率となっています。
[症状]
 痛みや発熱などをともなわない、肉眼でわかる血尿(けつにょう)(無症候性肉眼的血尿(むしょうこうせいにくがんてきけつにょう))が、最初の症状として、多くみられます。
 がんは、一般に血管が豊富で、ある程度大きくなると、その表面から出血し、それが血尿という形で現われてきます。したがって、四六時中、血尿が続くわけではなく、出血が止まると数日あるいは数か月間、無症状ということもあるので、注意が必要です。
 また、血のかたまりや、がんそのものが尿管をふさいだりすると、わき腹に痛みがおこります。
[検査と診断]
 問診、視診、触診などの一般的な検査のほか、尿に含まれるがん細胞を調べるなどのいろいろな尿検査、静脈に造影剤を注入し、それが腎臓で尿にまじって排泄(はいせつ)されるところをX線撮影する静脈性腎盂撮影(じょうみゃくせいじんうさつえい)、超音波やCTなどによる画像検査が行なわれます。
 また、膀胱内に別の腫瘍ができている可能性があるので、尿道から内視鏡を入れて観察する検査も必要です。
[治療]
 がんができているほうの腎臓と尿管のすべてと、さらに尿管口(にょうかんこう)(尿管の膀胱への出口)のそばの膀胱壁を切除しなければなりません。
 手術は全身麻酔で行なわれ、4~5時間かかります。腎臓から膀胱まで手術するので、腹部を大きく切開しなければなりません。また、膀胱壁を切開するので、膀胱が尿でふくらんで縫合した傷口が開かないように、術後は尿道から膀胱にカテーテル(細い管)を1~2週間入れて、尿を体外に導きます。
 ふつう、約1か月で退院できますが、がんが進行している場合には、抗がん剤の点滴治療が追加して行なわれることがあります。
 約3分の1の患者さんでは、術後、膀胱内に腫瘍の再発がみられます。したがって、手術後3年以内は、頻繁(ひんぱん)に尿に含まれるがん細胞を調べる検査や、膀胱の内視鏡検査(3~4か月に1度)が必要となります。
 この病気では、とくに定期的な外来通院がたいせつです。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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