四訂版 病院で受ける検査がわかる本 の解説
腎血流シンチグラフィ検査
シンチカメラで腎臓の変化を調べる検査で、腎核医学検査ともいわれています。術着は不要ですが、金属類は外します。検査後の注意は特にありません。
腎臓の働きをみる検査
腎血流シンチグラフィは、これらの腎臓の働きをみる検査で、放射性同位元素標識薬剤(ラジオアイソトープ)を体内に注入して、腎臓の変化を特殊な検出器(シンチカメラ)で検出し(撮像)、画像処理して判定するもので、腎核医学検査ともいわれています。
腎血流シンチグラフィには、動態シンチグラフィと静態シンチグラフィがあります。動態シンチグラフィは、腎臓の血液の流れや糸球体での濾過の能力など、腎臓の働きを評価する検査として行われ、レノグラムともいわれています。静態シンチグラフィは、腎臓にできた腫瘍をみるなど、おもに形態診断を目的として行われます。
慢性腎不全で尿排出は低下
腎不全とは、腎機能の主体である糸球体の濾過能力が低下した状態です。 動態シンチグラフィは、体に投与されたアイソトープが腎臓に集まり、尿に排泄される状態を検査するため、腎不全では腎臓の血流の低下、腎臓の萎縮と尿の排出量の低下を示します。
腎腫瘍では、腫瘍の部位のアイソトープの集まりが少なくなり、欠けてみえます。
腎血管性高血圧の診断にも行う
腎臓の糸球体は、腎臓の血液の流れを感知して調節しています。動脈硬化などで、腎臓の血管が狭くなって血流が少ないと、血管を収縮させて血圧を上げる物質(レニン、アンギオテンシン)が腎臓(糸球体)から分泌され、血圧が上昇します。これを腎血管性高血圧といい、この場合も動態シンチグラフィの検査を行います。
検査は40分くらいで終了
動態シンチグラフィは、腎通過尿量を確保して検査結果の評価が行えるように、検査20~30分前に約300~500mℓの水を飲み、排尿してから核医学検査室で行います。
静態シンチグラフィは、アイソトープを注射してから2時間後に撮像します。
心配ないアイソトープ
検査当日の飲食は普通にとってかまいません。術着に着替える必要はありませんが、金属類は画像処理に影響するので外します。
検査後の注意もありません。体内に入ったアイソトープは微量であり、速やかに尿中に排泄されるので、体内に貯留する心配はありません。
疑われるおもな病気の追加検査は
◆腎腫瘍→尿細胞診、腹部超音波、腹部CT、排泄性腎盂膀胱造影など
◆慢性腎不全→腹部超音波など
医師が使う一般用語
「じんシンチ」=腎シンチグラフィの略
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報