腸炎ビブリオ(読み)チョウエンビブリオ(その他表記)Vibrio parahaemolyticus

デジタル大辞泉 「腸炎ビブリオ」の意味・読み・例文・類語

ちょうえん‐ビブリオ〔チヤウエン‐〕【腸炎ビブリオ】

食中毒原因となる細菌一種好塩性桿菌かんきんで、コレラ菌に似る。海産魚介類などに付着し、それを夏期生食などして感染する。

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改訂新版 世界大百科事典 「腸炎ビブリオ」の意味・わかりやすい解説

腸炎ビブリオ (ちょうえんビブリオ)
Vibrio parahaemolyticus

食中毒病原菌の一つ日本における夏季細菌性食中毒原因菌の主体をなす。細胞の形がコンマ状をした好塩性のグラム陰性杆菌で,長軸の端に1本の鞭毛べんもう)を有する。培養すると,この極単毛のほかに,数本の側毛ももつ。10℃以下では増殖しないが,25℃を超えると盛んに増殖する。最適培養条件下では,およそ8分ごとに分裂増殖する。夏季の6~9月に腸炎ビブリオによる食中毒が集中するのは,この盛んな増殖能力のためである。本菌は,海産魚介類の消化管,体表面などに付着しており,これらの魚介類の生食,あるいは,生魚を調理した〈まないた〉などを介して二次汚染されたその他の食品を摂取することによって発病する。本菌が付着,増殖した食品を摂取すると,数時間から半日程度の潜伏期の後に,まず腹痛が起こり,次いで吐き気嘔吐下痢発熱などが現れる。まれに死亡例が出るが,概して軽症で,通常は5,6日で回復する。下痢や嘔吐による脱水症状が激しいときには輸液を行うほか,抗生物質による治療も行われる。
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百科事典マイペディア 「腸炎ビブリオ」の意味・わかりやすい解説

腸炎ビブリオ【ちょうえんビブリオ】

食中毒の原因菌の一種。日本で発見され,3%食塩濃度が最も発育に適することから,かつて病原性好塩菌と呼ばれていた。一端に鞭毛(べんもう)を有するグラム陰性短杆(かん)菌で熱に弱い。この菌が付着している魚介類を生食すると下痢などの中毒症状を起こす感染型の細菌性食中毒の一つである。→グラム陰性菌杆菌

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「腸炎ビブリオ」の意味・わかりやすい解説

腸炎ビブリオ
ちょうえんビブリオ
Vibrio parahaemolyticus

かつて病原性好塩菌と呼ばれていたが,1964年に現在の学名と和名が決定された。日本で発生する細菌性食中毒のうち最も重要な原因菌で,1951年に細菌学者,藤野恒三郎が発見した。グラム陰性の桿菌で,1本の鞭毛をもつ。通性嫌気性であるが,普通寒天培地ではほとんど発育せず,食塩を2~3%加えた海水と等しい塩分のある培地で旺盛に発育する。海洋の魚介に付着して 30℃前後の気温が加わると,数時間のうちに中毒量に達するほど繁殖する。食中毒の症状は腹痛,嘔吐,発熱などのほか,激しい水様便の下痢が頻発し,ときに血便が出るので赤痢と誤られることがよくある。

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栄養・生化学辞典 「腸炎ビブリオ」の解説

腸炎ビブリオ

 急性胃腸炎の原因となるグラム陰性菌.以前は病原性好塩菌といった.魚介類を生食した場合の胃腸炎の原因菌の一つとされる.

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