四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「膀胱尿道造影検査」の解説
膀胱尿道造影検査
前立腺肥大症、前立腺がんの診断に重要な検査
前立腺は、男性にのみある生殖器官です。多くの男性は、50歳代後半になる頃から、尿の出に勢いがなくなる、尿の切れが悪い、尿が出始めるまで時間がかかるなどの症状を自覚し始めます。
これらの症状は、前立腺肥大による初期症状と考えられ、この場合に行う検査のひとつが
前立腺は、尿道の根部(膀胱との境)にあり、これが肥大すると尿道を圧迫して排尿障害をおこします。前立腺がんでも、前立腺は大きくなり、初期には前立腺肥大症と同じ症状を示すため、がんと肥大を区別するためにも重要な検査です。その他、尿道
前立腺肥大症では膀胱の底部が滑らかに挙上
前立腺肥大症では、膀胱底部が滑らかに挙上し、後部尿道(前立腺部尿道)の圧排と前屈(さやえんどう状)を認めます。
前立腺がんでは、腫瘍が尿道や膀胱に浸潤するため、膀胱底部や後部尿道の壁が不整になります。
■前立腺肥大症
膀胱の下に前立腺があり、それが肥大しているため、膀胱の底部が滑らかにもち上がっている。また、前立腺部の尿道が肥大によって押されて、さやえんどう状になっている。
尿道口からカテーテルを入れて撮影
排尿してから検査を始めます。まず、ズボンや下着はすべて脱ぎ、タオルを腰に巻いて検査台にあお向けになり、膀胱部の単純写真(造影剤を使わない写真)を1枚撮ります。
次に、外尿道口から麻酔薬の入ったゼリーを塗った細いカテーテルを約3㎝入れ(軽い痛みのあることがある)、カテーテルを通して造影剤(60%ウログラフィン)を30mℓ注入しながら尿道の正面の写真を、さらに45℃ほど体をおこして、再び造影剤を注入しながら同じ部分の写真を撮ります。
最後に、約40mℓの造影剤を注入し、膀胱部の正面像を撮影します。
造影剤の注入時、苦痛はほとんどありません。約10分で終了します。
検査前には完全に排尿する
検査当日の朝食も常用薬も、ふだん通りでかまいません。検査前に、完全に排尿してください。
検査後の安静はいりません。水分を多めにとって尿量を増やし、造影剤を早めに排出します。検査後に少量の出血がありますが、じきにきれいになります。出血が多いときは、病院へ連絡してください。
女性の場合
膀胱尿道造影検査は、ほとんど男性が対象です。女性で尿の出が悪く、尿道の異常を検査する場合は、チェーン膀胱尿道造影検査を行います。
この検査は、チェーンのついたブジー(細い管)を膀胱まで挿入し、造影剤を注入して撮影します。
疑われるおもな病気の追加検査は
◆前立腺肥大症→前立腺超音波(経直腸的)および生検、残尿量測定など
◆前立腺がん→前立腺超音波、膀胱鏡(生検)、腫瘍マーカー(γ-Sm、 PSA)など
◆膀胱がん→腹部超音波、膀胱鏡(生検)など
医師が使う一般用語
「シーユージー」=cystourethrography(膀胱尿道造影)の略CUG から
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報