航空機使用事業ともいう。日本では航空法第2条で〈他人の需要に応じ,航空機を使用して有償で旅客又は貨物の運送以外の行為の請負を行う事業〉と規定されている。定期航空,不定期航空がともに貨客の運送を行うことを主たる目的とするのに対し,産業航空は貨客の輸送は行わない。航空法は第123条で,航空機使用事業を経営するためには運輸大臣の免許が必要であるとし,また同法施行規則は,事業免許の申請には氏名,住所,法人の場合は代表者の氏名,資本金,事業所の名称,資金の調達方法,事業計画の提出等が必要であると定め,定期航空に対すると同様のきびしい規制を課している。事業内容は,(1)不定期遊覧,(2)広告宣伝,(3)写真撮影,(4)建設協力,(5)報道取材,(6)薬剤散布,(7)漁業協力,(8)操縦訓練,(9)視察調査など多方面にわたり,操縦訓練,広告宣伝,写真撮影,報道取材が大きな比重を占めている。使用する航空機はセスナ,パイパー,ビーチクラフトなどの小型機とヘリコプターが中心となっている。日本で航空機使用事業の免許を持っているのは78社で,このうち定期,不定期事業の免許をあわせ持つものは65社であり,現有航空機数は768機である(1995)。
執筆者:津崎 武司
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他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客または貨物の運送以外の行為の請負を行う事業。航空法(昭和27年法律231号)では航空機使用事業という。小型の固定翼機か回転翼機(ヘリコプター)で薬剤散布、操縦訓練、写真撮影、建設協力、広告宣伝、視察調査など産業に寄与する作業を行う。定期・不定期で大型機を使用し旅客・貨物などを輸送している大手航空輸送企業と異なり、零細企業がほとんどである。その資本系列は、私鉄、電力、商社、製造会社、個人などに大別できる。また機材所有形態は、小型固定翼機と回転翼機の両方を所有する型、小型固定翼機のみ所有する型、回転翼機のみ所有する型、そして定期・不定期用の大型機と使用事業の航空機を所有する型がある。産業航空の特徴は、航空事故件数にみる産業航空の割合が高いことと、企業数が多いうえ実績が伸びないため赤字企業が多いことである。近年は、小型機による離島などでの2地点間輸送などの業務にも参入している。このように産業航空の役割は、定期航空の補完以外に独自な特性が発揮されている。
[松下正弘]
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