船舶保険(読み)センパクホケン

デジタル大辞泉 「船舶保険」の意味・読み・例文・類語

せんぱく‐ほけん【船舶保険】

海上保険の一。船舶船体・機関・付属具などを保険の目的とし、その滅失や損傷によって生じた損害を塡補てんぽするもの。

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精選版 日本国語大辞典 「船舶保険」の意味・読み・例文・類語

せんぱく‐ほけん【船舶保険】

  1. 〘 名詞 〙 海上保険の一種航海に関する事故によって船体およびその付属品について生じた損害を填補する保険。普通期間保険、航海保険修繕保険、不稼働損失保険など。〔新しき用語の泉(1921)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「船舶保険」の意味・わかりやすい解説

船舶保険 (せんぱくほけん)

海上保険は,保険の目的が船舶であるか船舶積載貨物であるかによって,船舶保険と貨物海上保険積荷保険ともいう)とに大別される。船舶保険の引受けの対象は,貨物船タンカーフェリー漁船等の通常の船舶に限らず,はしけ,ブイ,さらには海底石油掘削装置に至るまで広範囲にわたり,また保険の目的は船体,機関,属具のほか燃料,食料その他の消耗品も船舶の使用目的に供するために船舶内にあればこれに包含されるのが通例である。船舶保険が塡補(てんぽ)する損害の範囲としては,日本では全損全損・分損),救助費,共同海損のほか沈没座礁座州火災および衝突によって生じた損害の修繕費,他船との衝突によって生ずる衝突損害賠償金が含まれるのが一般的であり,これらを塡補範囲とするものを第五種条件とよぶ。また建造保険,修繕保険,係船保険など船舶のそれぞれの状態に応じた各種の保険がある。その他,普通期間保険(期間は通常1年)では戦争地域の航行に際しての,水雷などによる爆発,拿捕(だほ)などの戦争危険については保険者免責とされているが,これらの戦争に伴う危険を塡補するのが戦争保険である。また海難事故により船舶が運航できなくなったときの海運会社の運賃,用船料の損失を塡補する船舶不稼働損失保険も船舶保険の一種である。普通期間保険以外にも1航海ごとに付保される航海保険がある。船舶保険の特徴は,対象物件(船舶)が高額で,しかも自動車保険などに比べて引受件数が少ないため大数の法則が働きにくく,このため保険会社は大事故に備えて再保険を活用することがとくに必要である。また海上保険は一般に国際的な性格が強く,常時海外保険市場との競争にさらされているため,保険業法12条の3は,海上保険事業について業者間の協定その他の共同行為を独占禁止法の適用除外と規定している。これに基づいて損害保険会社が構成する日本船舶保険連盟は,船舶保険料率の算出,船舶保険約款と引受条件の決定を行い協定料率制度を運用している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「船舶保険」の意味・わかりやすい解説

船舶保険
せんぱくほけん
insurance of ships

船舶 (船舶自体および属具) につき生じた航海上の沈没,座礁,座州,火災,衝突などの偶然の事故によってこうむる損害の填補を目的とする保険。貨物海上保険 (積荷保険) とともに海上保険のなかで主要な位置を占める。ここでいう船舶とは,客船,貨物船,漁船,浚渫船,起重機船などをさし,これらの船体のほかに機関,属具,燃料,食料品,その他の消耗品なども保険の対象とする。また建造中の船舶については建造保険がある。建造保険の契約者は造船所であるが,保険の目的には造船所所有の建造中の船舶と当該船舶の建造材料のほか船主支給による資材をも含む。通常,起工または進水の時点から付保され,担保する危険は火災,洪水,転覆や進水時における沈没,座礁,衝突など海陸両面にわたってかなり広範囲である。保険価額は造船契約価額を下回らないのが一般的である。なお商法は船舶保険の保険価額 (818条) ,保険期間 (821条) ,保険者の法定免責事項 (829条) などにつき特に規定を設けている。

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百科事典マイペディア 「船舶保険」の意味・わかりやすい解説

船舶保険【せんぱくほけん】

貨物保険とともに海上保険を形成し,海上運送その他の海上活動に不可欠の制度である。沈没・座礁・衝突・火災等の海上危険によって生じた船舶の損害を填補(てんぽ)する。通常1年ごとの普通期間保険,1航海ごとの航海保険のほか,建造・修繕・係船等の保険もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「船舶保険」の意味・わかりやすい解説

船舶保険
せんぱくほけん

船舶が、衝突・座礁などの海上危険によって被る損害を填補(てんぽ)する保険で、海上保険の一種。

[編集部]

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保険基礎用語集 「船舶保険」の解説

船舶保険

船舶保険は、貨物船、油槽船や客船など通常船舶とよばれるものをはじめとして、建造中の船舶や起重機船等の作業船、また石油資源開発に使用される掘削装置等、海上で使用され、海上危険にさらされているほとんどすべての物件を対象とし、海上危険(沈没、座礁、座州、火災、衝突等)および陸上危険によってこれらに生じる損害に対して保険金が支払われる保険の総称を指します。

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世界大百科事典(旧版)内の船舶保険の言及

【海上保険】より

…航海に関する事故によって生ずる損害を塡補(てんポ)する損害保険。船舶のほか,船舶の属具・船費・用船料・運賃などを対象とする船舶保険と,積荷のほか諸掛,希望利益,運賃などを対象とする積荷保険(貨物海上保険ともいう)とに大別される。
[歴史]
 海上保険の歴史は他の保険に比べはるかに古く,各種の現代的保険の母体といわれている。…

【貨物海上保険】より

…積荷保険ともいう。なお,船舶を対象とする海上保険は船舶保険と呼ばれる。貨物海上保険では貨物自体のほか,運賃,輸入税,希望利益などもその対象となる。…

※「船舶保険」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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